ストックホルム在住の叔母が、いよいよ帰るというので、最後に一緒に東京の紅葉狩りを、と
雨でも大丈夫な場所として、根津美術館に行った。
昨日は午後から雨かも、という予報だったけれど、朝からどんより。
美術館に着いて、まずはお庭からまわった。
表参道の奥、あまり広くない土地に、高低差を利用(あるいは造って)して、巧みに散策路を築いている
お茶室の点在する日本庭園は、連休のためか、かなりの人出だった。
そこここにあるカエデは、ほぼ色づき始めていたが、まさに最高というものは、なかった。
それでも一部は真っ赤なものもあり、また、あちこちに置いてある石像や灯篭の類を、叔母は楽しんでいた。
17世紀の物が多かったけれど、もっと古い、大陸の石像もあり、よくこんなに集めたなぁ、と感心した。
館内の展示は、屏風に描かれたものを中心とした物語の絵で、金箔をふんだんに使用したものも多く、
華やかで、またストーリー性もあって、おもしろかった。
叔母は、昔抽象画を描いていたし、美的にステキな物には、それこそ北欧で目が肥えている
そんな彼女も、十分楽しんでいた。
中でも、これが江戸時代の作品?というような、大胆な構図で、屏風いっぱいに描かれた
源氏物語浮舟図屏風
左右一双の屏風の真ん中に小舟が描かれて、男女の密会の絵なのだけれど、
月が、カビの生えたレモンのくし型切りのような灰色の半月で、不吉な感じを醸し出して、
とてもインパクトが強かった。
叔母も感心していた。
美術館を出るころには、雨が降り出し、お蕎麦を食べて、お茶を飲んで、原宿駅で別れたけれど
80をとうに超えた、一人暮らしの叔母は、耳がどんどん悪くなり、補聴器もトラブル続きで
今度こそ、最後の帰京となりそうな予感で、さびしく思った。
とても元気に手を振っていたのには、安心だった。
「ストックホルムに来てね」と言われ、
「はい」と答えてしまった。
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