今年の本屋大賞受賞、あちこちで高評価なので心して臨んだら
とても良かったし、面白かった。決して電車内等公共の場では読めない一冊。
41歳公務員の薫子は、離婚の傷も癒えないところを
追い打ちのようにして、最愛の弟·春彦が急死してしまう。
彼の遺言を゙果たすべく、元婚約者のせつなに会いに行くところから物語は始まる。
悲しい状況の主人公達なのだが、薫子は「息苦しいまでに几帳面」な性格。
「誠実な努力家で、まっとうにへこたれては不屈のレスラーみたいに立ち上がる」
一方、つっけんどんで威圧的で、若くて有能な料理人せつなは
年上との約束に堂々と遅刻する等不適で強いキャラだがどこか脆さを感じさせる。
二人が共にボランティアで、苦境にある家庭の掃除と調理を2時間担当するのだが
この組み合わせが最強で、我が家にも来てほしいなぁと思わせる。
冒頭から、たいそうな不幸続きのシングル女性ぶりが詳述されるのだが、
薫子は安定した職につき、賢く、強く、口も立つから、
読み手には笑いさえも提供してくる。
落ち込むところまで落ちかけているのに、何なのだろうという巧みさ。
ただ、途中、この上ない不幸の可能性が示唆され、緊張感が増すような展開もある。
ネタバレになるけれど、自分は健康と思ってきた女性が、
適齢が過ぎようとする頃になり、必死で妊活をし、それが叶わない
という不幸も、家族を失うのと同じ位辛いのだろうと改めて考えさせられた。
違う年齢立場だけれど、以前の本屋大賞成瀬あかりのように、
強い自分を持っているのに、利己的ではなくて、優しさがたっぷり備わっている人は、
読んでいてとても魅力的だ。応援したくなる。
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