mixiユーザー(id:7990741)

2025年06月26日18:23

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「人魚が逃げた」青山美智子著

ある日、銀座の歩行者天国に、
アンデルセンの「人魚姫」の王子の扮装をしたイケメンが現れた、
という設定の連作短編集。

それぞれの主人公の置かれた転換期が、明らかにされつつ
登場人物達が魅力的に描かれていて、とても面白かった。

まずは、スカウトによりタレント業をしていたが、
辞めて就職した、自分に自信のない若者の恋の物語。
そして離婚したての傷心のシニア男性やらエンプティ·ネスト症候群っぽい専業主婦など
性別も年齢も異なる人々が、銀座の有名な老舗を巡りながら、
前向きになっていく様がとても好ましい。

木村屋や和光、文明堂などが実名で次々出てくるし、
4丁目の交差点から歌舞伎座辺りまで、人々は動き回る。

これまで多くの文豪等に描かれてきた銀座を、
この著者は果敢にも(?)舞台にするつもりなのね、
と、この作家よりも前からあの街を歩いてきた読者は
受けて立つ思いで読み進むーーなーんて。

一つ残念だったのは、本屋の教文館は実名で何回も出てくるのに
ナルニア国に関しての記述は一切無し。
ナルニア国あっての教文館だと思うのだけど……
(クレヨンハウスだって都落ちしたし、希少価値は益々上がっているかと)
そこだけ異議を唱えたい!のは、私だけでしょうね、きっと。


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