さすが上手いっ!と思わずつぶやいてしまった短編集。
読み手にかなりのストレスを与えながらも面白かった。
そして読み終わった私は思わずニッコリ。
表題作は新幹線からの富士山をモチーフにしていて、
マッチングアプリで知り合った、もう若くない男女の物語。
強い女性の行動にスピード感があり、あちらの方へ展開するかと思いきや
別な方へと話が進む。
他の作品は、パラレルワールドとか、もしもの空想とか
偶然がキーになって、様々な人間模様が描かれている。
中でも、殺人妄想の話に出てくるのが、歌舞伎町にある
新宿区役所で、ここが私にはどツボ。
というのも、作者と同じように、私もあの区役所には
なんかドラマの種というか物語性を、
用事があって行く度に感じるから。
亡くなった伯父の戸籍謄本を取る時とか、婚家先の謄本を取る時など
番号札を取って待つ間周りを見回すと、本当に興味深い。
ここにいる中で、日本生まれの日本人は一体何%?といつも感じてしまうし。
あの区役所に目を付けるなんて、
大作家も街を歩いて観察しまくっているのかしら、とさらなる親近感が湧く。
だからといって、隠れ観光スポットには、絶対になってほしくない。
待ち時間用のイスの数が、いつもギリギリなのだから。
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