このほど公開された映画の原作。映画の評判通り、何とも奇妙な長編。
読み終えたところで、「私頑張って読んだ」達成感はある。
舞台は二十世紀に入った頃のグラスゴー。
大金持ちだが、異様な外見のバクスター医師のところに
同居を始めた謎の若い女性ベル。
バクスターの唯一の友人と言えるマッキャンドレスが語る、ベルの物語。
まずは、本の初めの方にあるベルの挿し絵にビックリ。
これが美女??
気が強そうだというのは見て取れるけれど。
その他、登場人物達の肖像画は、随所にあるが、
全て著者グレイの手により、かなりグロテスク系。
さらに人体のパーツがカットとして、あしらわれて、
マッキャンドレスも医師だという設定なので
読者は終始、医学の影響を感じながら読み進む指向となっていると言える。
ベルは、25歳で川への身投げで死亡するも、
お腹の中の子どもの脳を移植された。
ということで、何も知らないまっサラな状態から、
誘惑された男に世界旅行に連れ回されて、様々なことを学習する、
とのことだけれど…
物語では、英国人らしい皮肉がたっぷり味わえるが、
アングロサクソン族男性の、何というか、
自分は高い地位にある!的な、生まれついての尊大さを
そこここで作者が批判していて、興味深い。
振り替えれば、かの"世界の人々に慕われた"が若くして交通事故死した元プリンセスも、
ここで痛烈に描写される英国の高貴な生まれの娘の範疇に当てはまるかも。
これは昔の話ではないな、と、2年前に読んだ「ノブレス⋅オブリージュ」を思い出した。
ともかくこれで公開中のヴェネツィア金獅子賞映画の予習は終わったから、近いうちに見に行こう。
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