mixiユーザー(id:7990741)

2017年08月07日18:40

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「不発弾」相場英雄著

この作家の「震える牛」がとても面白かったので、借りてみた。
実存する企業の粉飾決算事件をアレンジした、経済サスペンス。
読みでがあり、とても面白かった。

主人公は二人ーー炭鉱で父親を亡くし、どうしようもない自堕落な母に育てられた、
商業高校出身の古賀。
そして警視庁捜査二課のエリート管理官・小堀。
大牟田の閉塞感から逃れようとがむしゃらに励み、高卒証券マンから這い上がろうとする古賀は、
バブルの発生から終焉までをうまく立ち回ってのし上がる。

物語は各章ごとに年月を明記し、古賀の過去からを、
そして不正の臭いを嗅ぎつけて追うエリート警視・小堀の今を、それぞれ具体性を持って描いてゆく。
点と点でつなげているのに、切れ切れの感じがないのが鮮やかだ。

不幸といえる生い立ちの古賀には同情を覚えるものの、
金儲けを提供するその姿には、嫌悪感を誘発するものがまぶされている。
周りにいる証券会社のイケイケ上司とか、同業だけれどスマートで外資企業に見込まれる金融マンとか
脇役たちのキャラクターもきっちり描かれていて、ストーリーを豊かにしている。

金融犯罪を犯すものと捕まえようとするものの対決の話なのだが、
実際の巨大企業を、あからさまな別名にして登場させていることで、
フィクションがドキュメンタリーものに思えてきて
迫力が増して、面白さがぐんとアップ。
最後まで飽きさせない長編だった。

金融の知識がなくても十分楽しめる、
が、知識が少しでもあれば、ぐっと真実味が増していくような大人向けの小説だった。


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