去年「みかづき」で、惜しくも本屋大賞を逃した作家の 新刊の短編集。
6篇の中5つが、とてもおもしろかった。
それぞれ全く別の人物が紡ぐ物語なのだが、情景や立場の描写が本当に巧みで、
どの話も最初からグッと持っていかれる。
心地よくお話しの波に乗ると、導かれるのは
大人の胸キュンものだったり、庶民の怒りの抗議の顛末だったり
「ママ」というタイトルの小説は、ムーミンママがベース。
演技派若手女優の、上質の劇を鑑賞しているような
心を添えてたどっていけて、とてもおもしろかった。
(私としては、児童文学の「かぎばあさん」を連想もしたけど)
とにかく森絵都という作家の懐の深さ・引き出しの多さを堪能できる。
特に最後の「青空」は、初出からタイトルも変えての磨き上げた仕上がり。
実は私もニューヨークに住んでいた時に似たような経験をしたので、
そういう意味でも、すごく面白かった。
とにかく脂ののっている作家のこの一文、
「ああ、年をとるって、面白い。」(「出会いなおし」)
ますます目が離せない気がする。
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