本当はNY三部作を読んでからと思っていたけれど、たまたま図書館で見つけた。
オースター節満載の長編なのだけれど、少し毛色が違う作品。
というのも、まるでマトリョーシカのように、劇中劇ならぬ物語の中の別な物語が、
たくさんあって、かつ、さらに細部の説明を、拷問のように小さな文字で注として付記。
頭がシャッキリしていないと読み下せないような作りになっている。
にもかかわらず、やっぱり面白くて惹きつけられるのは、さすが。
主人公は(例によって)ニューヨーク在住の中年男で作家。
ただし今回はブルックリンに住んでいる。
魅力的な(たぶん美人)の妻と二人でアパート暮らしで、妻もフルタイムで働いている。
そんな彼が大病したが、奇跡的に持ち直したころから話が始まる。
久しぶりに小説を書こうとして、ネタを得、さらには不思議な文具店で一冊のノートを手に入れたあたりから、
展開が、いかにもNYっぽい、現実と異常さとのスレスレの境界を、主人公は歩むようになっていく。
劇中劇の主人公は、本作の主人公を投影した男なのだけれど、当然そちらの登場人物たちもリアルだから
よっぽどしっかり読まないと、読み手は訳が分からなくなってきてしまいそう。
そこが魅力といえば魅力。
もちろん本編の方が、この小説の現実として描かれるわけだけれど、
本編の登場人物も、とんでもない男たちが出てきて、嘘くさいとは言わないまでも、こちらも夢か?みたいな・・・・
ただ、一体どう収束するのかと思うと、なるほど、というストーリー展開でまとまって、
単純なハッピーエンドとは違うけれど、すっきりできた。
この著者だからこそ、読者は途中で放り出さずに作品の世界に居られるのだと、改めて感じたけれど、
一か所だけ、たぶん senior citizen という語を、高齢市民 と訳したところは???
もしかして、某有名児童文学翻訳者のよに、弟子に下訳させていらっしゃるのかな?
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