主に釧路を舞台にして、中年男女のドロドロ恋愛など、大人の小説を書いて、かなりのインパクトある作家の最新作。
新聞小説、と聞いたのだけれど、一つの新聞だけでなく多くの地方紙に連載されたようだ・・・
主人公を女性とみるか、男性の方に焦点を合わせるかで、感じ方がとても違う。
因みに私は男性の方を主と考えて読んだのだが、
主人公のうち男は54歳の新潟県人。
東京で仕事を失い、出身県に戻って就いた仕事先の女社長に気に入られ、彼女と結婚。
地元の飲食店や美容系の店などを経営する会社の副社長となるが、妻の連れ子の専務とは、うまくいっていない。
その、10歳年上の妻が交通事故で重傷になり、というところから展開する。
意識不明の妻を気遣いつつ、会社経営のドロドロに巻き込まれないようにと向かった東京で、
もう一人の主人公、売れなくなった美女タレントで銀座のクラブのホステスをしている29歳の娘と出会う。
彼女はタレント事務所をクビになりかけていて・・・
不幸を背負いながら、というところは桜木小説の定番なのだけれど、気丈に立ち回るという方向性が、
今回はちょっと独特で、寄せては返すトラブルへの立ち向かい方が、危ういというか、正常でないというか。
先日「王様のブランチ」に出てきた作者が、「まず結末が決まっていた」ということを明かした上、
番組でもキャッチコピーのようにして言われる「衝撃の結末」なのだけれど、
それは、読み進んでくると、まぁ、雰囲気は、そうだよね、という方向のような気がした。
読み手によって感じ方が大変異なる小説なのだろうか。
ところで、このタイトルだけれど、最後の方で
「僕たち法律家は、それを愛とは呼ばないんです」
この1年余り、法律の無情というか、法の不当性みたいなものを、私は痛感しているので、
まさかここで桜木さんが、こう書いてくれるとは、と、
何だかクスリと笑えてしまった。
本来衝撃の結末絡みのところなのだから、胸キュンとかガーンとか、感じるべきところなのだけれど。
>法改正なんて、所詮無理な話だものね。
>来るべき時がわかっているなら、予め手を打つべき。法に対応できる方向へ。
>法を知っている人間は、そうやって法により被る損害を防ぐのだろうが
>ただ、それができるほど、要領よくない人の方が、多いだろうに。
>正当な権利を守れない法律ってなんなのだろう。
ちなみに、この物語では、「正当な事をしたのに、法律違反と言われる」ということでは、ありません。
たまたま今の私には、決め台詞の冒頭部が、ドつぼ でした。
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