いまどき珍しい大きなヒストリー。
そのなかに家族の、一族のストーリーが織り込まれる。
いや、さらにはロンドンの、イギリスのアンダーグラウンドの世界も紛れ込んでくる。
だが元はと言えば、マニアックな個人的な世界から出発し、それが大きく、広く発展してくるさまは見事。
テキストもしばしば散文詩的雰囲気に伴われている。
なにしろ七百頁を超え、饒舌さにあふれ、言葉の饗宴なんていう大時代的なフレーズを思い出させる。
なにしろ力でぐいぐい押してくるので飽きるということがない。
講談的ノリでじっさい、長さを感じさせないといってもいい。
この圧倒的な話のまえで、どうにか息継ぎをしたいと思ったら、レッシングの「黄金のノート」あたりを読む、再読するしかないだろうか、と思ったしだい。
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