ニホンは翻訳大国として有名であるが、じつは優れているからではなく、売れるから訳される。でもそんなことを言うまえに、海外文学の講読は低調だという。いや、そんなことはない、という声もあって、判然としないところもある。
ニホンだって翻訳家は黒子に徹することが少なくないが、それでもニホンにはスーパー翻訳家なる方々がいくらかいらっしゃる。
事実は錯綜していそう。でも考えてみると、ほとんど常に「訳者あとがき」なるものがあるのもニホンぐらいらしい。
明治のころからも翻訳の大家なる方々はいらっしゃるが、そこへくると青山南はナイーブ系の翻訳家か。今をときめく柴田元幸とはただ五歳の差にしかすぎないが、翻訳の世代交代を感じさせる。
青山南については、このあいだ読んだ、メキシコでスペイン語を学ぶ話がいかにもこけおどしだったので、ちょっとかちんときたが、この本は考古学的価値もあって、読むのは面白かった。
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