mixiユーザー(id:1299833)

2019年11月29日13:22

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白川静『漢字百話』(中公新書)

 名著中の名著という誉れ高し。
 でも、ラディカル、つまり漢字というものを本来、生んだ社会の呪術性なるものまで遡って考察しているために、現代人のわれわれにとっては初めは違和感を感じてしまいそう。
 しかし昔の世界はおどろおどろしい、禍々しいものが人の暮らしにおおきな影響をあたてていたのだ。
 読みながらそんな世界を追体験していかなくてはならない。

 今さら言うまでもなく、ヨーロッパの学問は卓越している。
 言語学についてもしかり、ソシュールの影響は多大で、まるで言語学が諸学の王であるような印象さえ受けてしまう。

 しかしソシュールの核心とは、言語は話すことがそのテーマであり、それを書き表したものは二次的でしかないということ。
 実際に多くのひとはそう信じている。
 しかしながら漢字は、意味がメインでその音声は二次的でしかない。
 漢字は、記号ではなく、象徴であり表現である。
 しかも漢字はニホン語の体系に編入されたことで、ハイブリッド性をさらに高めた。
 やはりすべてをヨーロッパを規範として考えることには無理がある。
 著者の語っていることをぜひよく消化していきたい。
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