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2019年10月02日12:19

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鈴木敏夫『仕事道楽 スタジオジブリの現場』(岩波新書)

 この小著を理解するために「高畠勲展」を観たことはきわめて有益であった。
 1963年というニホン・TVアニメ界のスタートに先立って、アニメ映画として「白蛇伝」および「安寿と厨子王丸」が公開されTVでも放映されるに至った。
 そのどちらも、すくなくともわたしにはきわめてペシミスティックに受け取られるような悲劇性にあふれたものであった。
 そして1963年の「鉄腕アトム」「狼少年ケン」「エイトマン」とつづく。
 人並みに小学時代はTVマンガにはまったわたしであったが、中学にはいると、部活、そして毎日図書館で借りる本などでTVを見ない暮らしが始まってしまった。
 したがって以後、TVマンガのことにはずいぶんうとい。
 ときは移り、メキシコのシネテカにもジブリの映画がとどくようになった(もちろん米国経由であるが)。

 かくしてニホンのサブカルチャーなるものは、わたしは海外での評判を基に注目するという変則的なやり方で接近するようになった。
 したがって初期のジブリについては詳しくないし、いまだに「ナウシカ」も見ることができないでいる。

 ということで、プロデューサーの鈴木敏夫が語るところのジブリの有様。
 アニメーションというのは、経費のみならずじつに手間がかかるもので、つねに排水の陣のような具合、それにアイデア勝負。
 そこで怖ろしいまでに光り輝く宮崎駿の個性、そしてそのチーム。
 著者である鈴木敏夫の軌跡もニホン・アニメーション界の上げ潮を生々しく描いている。
 こんな才能こそニホンをしょって立つものではないか。
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