mixiユーザー(id:1299833)

2019年01月31日13:51

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船木亨『現代思想史入門』(ちくま新書)

 ヨーロッパ現代思想史入門、あるいはそれをどう読み解くか、というテーマ。
 なぜならいかにも博識といえど、すべてを網羅して書き記すのはじつに難行であろうから。
 だからここは、著者がこのテーマをどう扱おうとしているか、という芸を見習いたい。
 しばしば口にするように、わたしは非ヨーロッパ世界の思想・文化にもおおいに興味・関心を抱いているので、ヨーロッパ思想史がすべてだなどと思ったことはない。
 ただその生成の機能・論理にこそ興味がある。

 なんて大風呂敷を広げてみたが。
 二年前にこの本を手にしたときは、一応、凄そうであるが、こんな五百頁もあるものをどう読みこなしていけばいいのか、途方にくれたのも事実だった。
 だがもともとこの本が気に入ったのは、フランケンシュタインが採り上げられていたからである。
 フランケンシュタインは怪奇ではなく、思想である!という点で、著者とわたしは何よりも一致していた。
 ということで、フランケンシュタインのところから読み始めることにした。
 自分史を探るようなつもりで、実存主義の歴史的意味を考えた。
 いわゆる構造主義、ポストモダニズムとは何だったのか歴史的に見れば。
 ニホンというのは、現代哲学史をまるで商品カタログのように視ている、というのはよく知られている。
 そして話はきわめてup-to-dateなところまで及んでいる。
 したがって、要はこの著者はどう考えているのか、を知ることであり、これをたとえば土台にして、「わたしはそうじゃなくて、これこれこうだと思うんですがねえ」ということがあってもいいし、ぶっちゃけた話、そうならなくてはならない。
 ということで、読後感はずいぶんとリッチであった。
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