ヨーロッパ現代思想史入門、あるいはそれをどう読み解くか、というテーマ。
なぜならいかにも博識といえど、すべてを網羅して書き記すのはじつに難行であろうから。
だからここは、著者がこのテーマをどう扱おうとしているか、という芸を見習いたい。
しばしば口にするように、わたしは非ヨーロッパ世界の思想・文化にもおおいに興味・関心を抱いているので、ヨーロッパ思想史がすべてだなどと思ったことはない。
ただその生成の機能・論理にこそ興味がある。
なんて大風呂敷を広げてみたが。
二年前にこの本を手にしたときは、一応、凄そうであるが、こんな五百頁もあるものをどう読みこなしていけばいいのか、途方にくれたのも事実だった。
だがもともとこの本が気に入ったのは、フランケンシュタインが採り上げられていたからである。
フランケンシュタインは怪奇ではなく、思想である!という点で、著者とわたしは何よりも一致していた。
ということで、フランケンシュタインのところから読み始めることにした。
自分史を探るようなつもりで、実存主義の歴史的意味を考えた。
いわゆる構造主義、ポストモダニズムとは何だったのか歴史的に見れば。
ニホンというのは、現代哲学史をまるで商品カタログのように視ている、というのはよく知られている。
そして話はきわめてup-to-dateなところまで及んでいる。
したがって、要はこの著者はどう考えているのか、を知ることであり、これをたとえば土台にして、「わたしはそうじゃなくて、これこれこうだと思うんですがねえ」ということがあってもいいし、ぶっちゃけた話、そうならなくてはならない。
ということで、読後感はずいぶんとリッチであった。
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