【柱状】
ささげもつのにひつようなのは
もはやてわたすあいてでなく
あるくおのれだと念に押す
にがいめぐすりをさしたゆえか
暑いさかりへ霜ばしらがかさなり
おもいのほか道がざくざく音をたてる
手からむかっているそれがシラクサ
じぶんが刃物になっているほかに
まわりすべても刃物にみえる加算を
むねでしろくなったみどりとして
匍匐へこすりおろしているのか
葡萄に似た字で身の柱をひく
わたったくぼみを数ともしない
むしろ数の降下こそ霜になそうと
耳のなかをほそめながらすすむ
玻璃ケモノのそこがシラクサ
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女房と電話で長ばなしのあと、川田絢音『雁の世』がとどく。ひもといて読み終わり陶然となって、なにか内容とは無縁かもしれない視覚ものこった。それを上の詩にした。いずれにせよ『雁の世』はことし屈指の詩集。けれどそれが何冊目かをかぞえはしない。ことしの袋はまだひらいておく。
午後イチからは気を入れなおし、また江代充にとりくむ。川田絢音と連絡線ができるかもしれない。できないかもしれない。まどのそとがしろくひかり、カーテンがゆれている。
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