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日記一覧

音点
2022年06月03日12:56

 【音点】  どのからだもそのものではない耳介ですらひびきをあつめるためそとにあずけられたとおいうつわの仮初のかたちにすぎないだろう ひもといてみればひとりびとりがみしらぬうつわにおもえるのは音点あまたにひかりがおりるから すべて対立ではな

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耳朶
2022年05月21日12:48

 【耳朶】  そんざいがひとつの耳にみえたのはおとにとってなきたいことでした うすいジダ、とその名をよんで小骨や蝸牛などふくざつな共鳴のなかみをつねゆめみていて けれどもそんざいがゆくえなきあなのみちびきからはじまるのをどうして楽章ともおも

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横臥
2022年05月20日08:38

 【横臥】  からだにあった縦が一切きえよこになってしまったのだからわたしじしんもきえていった しずかなかたちのこもりぬひとつ平椀のように水がうすくもられ あんいつへ風がふきこんでくるとしんけいしつにみぎわがゆれるさざなみがわらいじわなのは

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手題
2022年05月12日09:56

 【手題】  おもわず主題を手題と書きそんじわたしらはあやまりをしってしまう 海へとくだってゆく坂のようにわたしらは手においてこそしづくりがかたむいているのだ よこからみればどろぼうさながらおずおずと手題をさしいれつづきとおもうふかさをはか

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階段
2022年05月07日20:22

 【階段】  階段はとつぜんあらわれるものひかりのなかに立つかたちでしかも手すりの翅をあまくとじみやびにあおくほそまって やこぶとか梯子とかではない町をまようと揮発域として生じけあげの横列だけがみあげられる したしくしたひとらのようなひとま

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白老
2022年04月18日05:26

 【白老】  いつかあのそらをおもいだしてきっとえづいてしまうのならあの空もつらく高いのではないか すべて紡錘ですよといわれるが横からまく風とはなんだろう そらではなく鳥の座とよんでみるとしらおいのやまいでしわをおびたはるか鏡天井まで鶏舎と

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愁殺
2022年04月06日16:31

 【愁殺】  ゆううつのあった日はそのようにいわないといけないせかいのひろがりにふれたのだと 日のうつりかわりをおもいだすゆるやかさがすべて愁殺をまねいた ひとつのばしょでの激変とまったくちがう自身のおぼえかすかな花芽をさがすみずからのまな

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創成
2022年03月23日07:43

 【創成】  ゆきかうひとらに雨傘がふえてそらの雲はささえられだしている さきごろまでうすいふちのカップでときを透く葛湯をのみすぎつましくうすくなったくちびるは 傘をかたげ天からのかんろをくらいあなへいれようとひらくこのとき傘とすがたの分裂

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 今日3月16日、札幌の試写でみた白石和彌の『死刑にいたる病』が大傑作だった。キャスティングを記すだけで、何かネタバレの域を踏み躙りそうなので、全部抽象的なメモ書きで行く。 ・拘置所の面会スペースのガラス張りの「向こう」に比較を絶して聡明で礼

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丘珠
2022年03月16日11:57

 【丘珠】  ひこう場のれんげのあたりにあの丘珠璃子はいただろう みぎひだり、あしんめとりいのかおをもつきれいなむすめからだがかすんであおを発する それでも腕や脚、それらはどこへとつながっていたのかあらゆる双数のゆめへとだろう春のけはいは数

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返照
2022年03月11日17:32

 【返照】  まうえのゆきぞらをみあげ雪がひとみへふるにまかせた くびからうえのまどをひやしてただの空ではなくときをうつしたなみだとともにまぼろしがにじんだ ゆっくりといちばへつどってくるゆうがたびとのけんぞくとなったがみあげることがやすり

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星辰
2022年03月07日08:15

 【星辰】  星がふたつあればすでに星座でそれらをにぎる手こそ配列のとらえなおしで湿る それでもつよくしたたるのは双数の星がつくりだす共時なのだ やがてあいまいになった把握はこぶしで柑果をつぶしているにがさともないまぜになりてのひらのつづき

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遠境
2022年02月24日08:16

 【遠境】  みなみのなつかしい雨あがりがいっせいに草の濛気のたちのぼる獰悪なにおいのあふれなのにくらべ きたの雪あがりは雲のおおうままつむゆきのくらくのこったままうつわでりんごの香をゆらすだけのこのてのひらのつづきにすぎない あがりのあと

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記憶
2022年02月16日02:58

 【記憶】  いちどふりかえったあのひとをここからいちどだけみつめたそうして容赦なく一回性がつたう からだのなかにからだがあるとおもっていたが、さほどでもなく たんじゅんな一回性により眼にされたこちらのからだがからだごと瞑目できないでいる 

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形影
2022年02月02日09:41

 【形影】  樹々があるく国にいるならわたしじしんあるかなくてよいすなどりもせず拾いもせず ゆく樹々のとってのわたしはちいさな点景とただなるだけで みまわしながら思いをひろげ樹のすべてがおんなである確率をうごきのもんだいからとらえる みな形

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斜性
2022年01月29日08:57

 【斜性】  坂のなかとはどこをさすのか斜面すべてではないだろう おだやかなひとつのななめが次のさりげないななめへつながるそのときに、なかがあって ひとはそこにこそ足をとられのっぺらぼうの斜性となりそれまでの坂をうろぬきつつおのが直前へとき

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潮音
2022年01月26日13:08

 【潮音】  すみわたったきれいなひとみがこちらのひとみもすませるまなざしはそのようにつたう ゆきの日の巨木の枝えだはひとのみかわしをかすめつくしまなざしをつたえおわった痕跡でかたちがまとめあげられている しずかさがほほえむ瞑目になればとお

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灰色
2022年01月16日17:08

 【灰色】  はいいろのちいさくかわいい花がせいぜんとみちばたにならんであるけばものくろふぃるむのさなかへはいってゆくようなのだ ものくろふぃるむのながめにはきんいろとみえる急所もありまなこではそれが粉としてのこる あしくびにりぼんをまいた

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用字
2022年01月12日13:12

 【用字】  詩は書かれているてもとでかくひとのまねをする枝をゆくリスと枝の関係のように おなじものにたえるというのはいんさんなえだになることなのだ 鞭さながらにするどく撓って詩のくろい流血をまっとうするからだをとおし諱はつたえた こすれつ

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