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日記一覧

 「寄らしむべし、知らしむべからず」孔子の言葉である。支配者は民衆に情報を知らせず、黙ってついてくるようにするべきだ、と解するのが定説である。ところが、いつ、何でだったか忘れたが、「知る」とは、支配するという意味である。日本書紀には「・・・

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 マーク・トゥエインの「ハックルベリ・フィンの冒険」には、トム・ソーヤーの残酷な一面が描かれているという説を読んだことがある。ここでは、ハックが黒人奴隷のジムだったかを、自由州に逃がすためにミシシッピ川をカイロという街まで下り、そこで合流し

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 バーネット「小公女」を読んで驚いたのは、ヒロインのセーラが、マリー・アントワネットの味方であったことである。大金持ちのお嬢様から雑用係に落ちぶれてパンもろくにもらえないセーラが、革命派の民衆よりもアントワネットの方が立派だというのだ。あの

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 旧約聖書のノアの箱舟では、大洪水から一族と動物たちだけ助けられたノアが、エホバに感謝の供物をささげたところ、エホバは反省して、ジェノサイドはもうしないと誓ったとのことである。これでは、全知全能の造物主とはいえない。プロファイルに合わない。

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 シートン「ぎざ耳うさぎ」は、近所の古本屋で、年の離れた兄から最初に買ってもらった本だった。漢字が読めずふりがなを打ってもらったが、それでもだめで、実際に読んだのは高学年になってからだった。 ぎざ耳なのは、母さんうさぎの言いつけに従わず、好

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 どういうわけか、ドリトル先生シリーズで読んだのは、「ドリトル先生月へ行く」という、不思議な話であった。たぶん、たまたま本屋にあったからだろう。話は、昔、まだ月がなかった時にさかのぼる。ある男が、何をしていたのか忘れたが、地球が分れて月がで

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 コッロディ「ピノキオ」は、いまや単なる童話ではない。むしろ底の知れない神話に違いない。子供のいない大工さんが、ピグマリオンのように、自分の子供の代わりに操り人形を作ったのだが、このピノキオは救い難いいたずら坊主であった。しかし、碧緑色だっ

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 ネバーランドは、ユートピアの英訳でしょうか。理想の国というよりは、決して存在しない国の方が正確でしょう。今時は、急死したマイケルジャクソンの屋敷を思い出すのでないでしょうか。しかし、もちろん、ピーター・パンが孤児たちと住む島のことです。そ

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 映画「マイフェアレディ」と「ティファニーで朝食を」は、どちらもオードリー・ヘップバーン主演であるが、原作の苦い味を、まったくのラブコメディにしてしまった。原作者はどう思っているだろうか。 「マイフェアレディ」の原作は、バーナード・ショウ「

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 ルネ・クレマン監督「太陽はいっぱい」は高校生の時に見た。ニーノ・ロータのテーマ・ミュージックにのせて、地中海にあふれる太陽のきらめき、海の深い青と陸の白い街と、そこで行われる、嫉妬と殺人、金と美女。最後にアラン・ドロン演ずる主人公は、金持

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 ルネ・クレマン監督「禁じられた遊び」は、孤児となった少女と、一時引き取った農家の少年との、幼い愛と別れの物語である。全編に流れるナルシソ・イエペスのギターをバックにして、少女を引き取る約束を破られた少年が、村の墓地から集めた十字架(それが

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 人間という種は、目下、その誕生以来の絶頂期にある。他の種を絶滅させたり、絶滅危惧種にさせたりしながら、さらなる頂点を目指している。もっとも没落の影も見え始めた。オゾンホールの拡大や地球温暖化など、人間の手では制御できそうにない。 しかし、

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 モーパッサンの「女の一生」は、夫という運命に従った女性の悲劇である。ただし、この類型は、今は昔になっているだろう。ところで、樋口一葉の「たけくらべ」もそうなのだろうか。吉原遊郭の遊女という運命軌道にのる直前で終わっていると。確かに、そう習

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 分からないと言えば、川端康成も分からない。「伊豆の踊子」や「雪国」の意味は何なのだろうか。そもそもストーリーに意味があるのか。夕立が追いかけてくるだとか、夜の底が白くなったなどの、新感覚の描写があるだけではなかろうか。 確かに、ストーリー

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 名前は忘れたが神殿から、ギリシャ第一の知恵者との託宣をうけたソクラテスは、なぜ何も知らない私が、・・・と考えた末、何も知らないということを知っているからだ、との結論を得た。 さすがソクラテス・・・とは素直には言えない。囲碁や将棋の名人が、

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 このシリーズでは、ある程度解けたと思った謎を紹介しているのであるが、まったく不可解な小説もある。村上春樹など、ノーベル賞候補と言われている作家の小説が、何の事だかさっぱりわからない。「海辺のカフカ」はいったいなんなのか。四国の森や血まみれ

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 森鴎外「阿部一族」の印象は、いったいどうして一族滅亡の連鎖反応を止められなかったのか、ということだった。一族の当主はでくのぼうなのか。最初の当主も、二番手の当主も。そろいもそろって。 もっともギリシャ悲劇でも、「オイデプス王」など、予言の

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 昔読んだアンデルセンの自伝には、ある友人から、「なぜ悲しい話を書くのか、少し変えればみんな幸せになれるのに」と言われて、呆れてしまったとあった。私も悲劇嫌いであったが、アンデルセンが正しい、「君の名は」のファンや、なんでもハッピーエンドに

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 今日、ブックオフへ行って、井上文勝著「千の風になって 紙袋に書かれた詩」ポプラ社2010.2 を見つけて驚いた。作者不明の詩とされていた「千の風になって」の作者は、マリー・E・フライというアメリカ人の女性で、ドイツにいる母を亡くし、葬儀に行けな

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 周りは真っ暗な水田である。向こうに灯りが見える。今晩泊る農家らしい。子供の私は、行商をしている母の後ろについて畦道を歩いている。蛙の声が、天に響いている。  雪が降っている。泊めてもらった農家で待っていればよかった、という母の文句を聴きな

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 私は、アパートの狭い部屋の中にいる。友達が外にいて、中と外でテニスをしている。私の打ち返したボールが、大きく外へ飛び出した時に気がついたのだが、・・・窓が閉まっている。ボールは窓ガラスをすり抜けて出たり入ったりしているのだ。・・・テニスと

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 ゲーテの戯曲「ファウスト」では、主人公のファウスト博士は悪魔メフィストフェレスと契約して悪魔の力を得る。ファウストは万能の天才学者であるが、生涯の研究の成果にむなしさを覚え、自殺を図ろうとする。そこに現れたメフィストは、人生は緑である、研

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 シャーロック・ホームズの生みの親コナン・ドイルは、医者でもある科学者なのであるが、同時に、超常現象をも信じていた。超常現象とは、霊媒師がカードの裏を読んだり、手を触れず物体を異動させたりする科学では説明のつかない現象であるが、ドイルの生き

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 小説「氷点」は、キリスト教作家、三浦綾子のデビュー作である。 ヒロインの陽子は、養母から猛烈ないじめをうけて育つが、太陽のようにいじめを溶かしてしまう天分を持っている。しかし、養母から、彼女の実父が養父母にした許されぬ罪を告げられ、自殺を

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 「地の塩となれ、塩もしその味を失わば、何をもってかこれに塩せん・・・」。これは、マタイ伝によるイエスの言葉である。 これを、浅はかに読めば、造物主であるなら塩味を戻すことなど造作もないはず。やはり、イエスは神ではなかった、自身を神とは考え

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 新井満が作曲した原作者不明の詩の説くところでは、たましいは千の風になる。墓の前で悲しまないでください、とある。 新井満は、詩の中のアニミズム的な発想や、よく知られている地域からいって、原作者はアメリカのネイティブ、つまりアメリカ・インディ

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 さて、究極の問いである。 一体、法華経と日蓮宗に対する信仰は賢治ととし子のどちらが主導したのだろうか。むろん、定説は賢治である。賢治が盛岡中学の5年生のとき、父に寄贈されてきた法華経を読んで、魂が震えるほど感動した、とは本人が言っているこ

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 とし子は賢治の創作に、積極的な役割を果たしたのかどうなのか、このことが問いなのである。そろそろ、不十分でも結論を出さねばならない。 詩集「春と修羅」が、とし子の懺悔と信仰告白の書である「自省録」に触発されたものであることは間違いないと思う

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マリアの嘆きと弱い神
2010年11月14日17:03

 イエスの処刑を見守り、十字架から降ろされた遺体を抱くマリアの悲しみは、ピエタ像として広く知られている。マリアの姿は、身に覚えのない受胎告知の驚き(ふつうは、恥の子である。・・・今はそうでもないか)、馬小屋での誕生の喜び、そしてピエタの悲し

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 森田公一「青春時代」は、阿久悠の作詞で、「青春時代の真ん中は 道に迷っているばかり」と歌っている。青春は若さ、楽しさなどばかりではない、ということがズバリ表現されて、多くの若者の共感を呼んだ。しかし、いかにも後ろ向きの感性である。 「トム

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