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日記一覧

 自身の日常生活を描くのは私小説作家の常道である。なかでも子どもたちの成長を主題として平穏な日常を描いているのは庄野潤三であろう。それに対して、大江健三郎の「万延元年のフットボール」以降の小説は、危機をはらんだ日常と登場人物の間の議論を描い

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 小説の主人公は作者から性格を与えられると、後は、作者から独立して行動するようになるそうである。作者の自由にならない。操り人形ではない。そうならなければ面白くならない。 ところがSF「闇の左手」や「ゲド戦記」の作者アーシュラ・ル・グウィンは

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 村上春樹「東京奇譚集」新潮社2005 を読んだ。これは5つの短編が収められていて、長編のように奇想天外ではない。リアリズムで分かりやすい。 第1話は「偶然の旅人」で、著者は自分自身ではオカルトも超能力も虫の知らせもテレパシーも信じていないのだ

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 村上春樹と河合隼雄の対談集「村上春樹、河合隼雄に会いにいく」岩波書店1996 を読んだ。これは、村上春樹が何を、いかに考えているかを知るうえで非常に参考になった。 第一に、村上は自己治療として書いている、心理療法の箱庭づくりと同じようなものと

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 虫食いを 斑入りに変へて  柿紅葉 吊柿 晒す光の スペクトル 薄野や 光を運ぶ 波頭 花薄 揺れて光を 放つまで コスモスを 飛び立つごとく フラミンゴ

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 村上春樹「ねじまき鳥クロニクル 3部作」新潮文庫1997(単行本1994年)を読んだ。やれやれ長い。第1部は、編集者の妻クミコと失業中の夫、主人公の岡田享の日常と、行くへ不明の猫探し、その時にであった近所に住む少女笠原メイと謎の空き家、透視能力の

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 原田真人監督、役所広司主演のテレビドラマ「初秋」をみた。芸術祭参加作品とのことで、京都の寺、石庭や能舞台、染物屋、旅館を格調高く描いていた。原作は井上靖とのことであるが、新聞のテレビ欄解説によれば、小津安次郎監督、笠智衆、原節子主演の「晩

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 パラグライダーの飛び立つところをはじめて見ました。ぬいぐるみを着て飛ぶんですね。 秋光へ パラグライダー 押し放つ 上下左右 パラグライダー 秋の中 刈田風 パラグライダー 地におろす 光りつつ 水車の桶へ 秋の水

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 村上春樹「風の歌を聴け」講談社文庫1982(単行本1979)は、作家になりたいが、失語症であった青年が、大学の休暇中につきあった友人や恋人との関係を描いた小説である。なにしろ、失語症だから描写といえるものもなく、人間関係の説明も断片的であって、ほ

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 木犀や どちらの路地か 犬に問ふ ここでまた 木犀の香の 新しく 木犀の かほりは路地を ひたしをり

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 渾身の 気合い 花火を開きけり 音と色 ずれて虚空に 遠花火  稲光 はるか疾走する 青年に 熟柿落ち 上に角ふり なめくじり

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