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日記一覧

 なぜ、人の心は凍りついて反応しなくなるのか。それは原罪を持つからだと、それが原罪を持つ証拠だと、三浦綾子は言っているのだと思う。「氷点」の太陽のように自身の力で輝き、他を温める力を持つ奇跡のスーパーヒロイン陽子さえも凍らせてしまうもの。陽

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 三浦綾子「道ありき」新潮文庫1980(主婦の友社1969)、「この土の器をも」1981(1970)、「光あるうちに」1982(1971)を読んだ。マイミクのラーラさんに、「氷点」を読んだのならと紹介いただいたのである。前の二つは朝日新聞懸賞作「氷点」にいたる、つ

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 池田晶子・陸田真志「死を生きる 獄中哲学対話」新潮社1999 は、哲学者池田と死刑囚陸田の往復書簡で、1998.7-1999.1まで「新潮45」に掲載されていた。そのとき部分的に読んでいたが、このたび、永山則夫との比較の意味もあってあらためて読んでみること

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 永山則夫「無知の涙 増補新版」河出書房新社8刷1997 は、連続ピストル射殺事件(1968)で4人を殺害した永山が、逮捕後東京拘置所で1969.7-70.10のかけての1年間ほどに書きためた心境を綴ったノートである。 内容は。前半では極貧で家族に無視されてい

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 秋元松代の戯曲「常陸坊海尊」1964 は、源義経の家来であったが、衣川で主を見捨てて生き延びたものの、罪の意識にさいなまれ、実に江戸時代のはじめころまで村々を懺悔して歩いていた琵琶法師をモデルとしている(つまり、武蔵坊弁慶のネガ)。この戯曲は

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 深沢七郎「楢山節考」は貧しい山村での生き残るために犯さなければならない罪とあがないを描いている。その罪とは、70歳を過ぎた年寄りは楢山参りをすること、これは姥捨てであり強制的な即身成仏である。これはただ食べるだけの老人の人減らしなのである

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 ヴィンセント・ミネリ監督「いそしぎ」1965 を見た。気がつくのが遅く、後半だけになってしまったが。この映画はテーマソングがラジオでながれていたし、お騒がわせのテーラー主演と言うことで知ってはいたが、見たことはなく内容も知らなかった。 ストー

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 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1619434272&owner_id=34218852 カミュ「異邦人」のことは以前に上記の日記に書いたから繰り返しになるが、これも植民地人(コロン)の現地アルジェリア人への無意識の恐れと憎しみを描いたものだと思われる。 ムルソーは

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 原罪とはキリスト教神話の原点と言うべきもので、というか寓話でアダムとイヴがエホバの禁止にもかかわらず蛇の誘惑で智恵の木の実リンゴを食べたことを意味している、らしい。その人間の罪の大元である、神との約束を破ったという裏切りの原罪をあがなった

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 講談社版世界文学全集「ゲーテ」の解説で、訳者の斉藤栄治はゲーテの偉大さは「・・・生活と作品による自己実現・自己表現が高揚し純化して、まさに人間存在のひとつの象徴とまでなっている」ところにあると指摘している。 つまり、多忙な政治家であり、科

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 河合隼雄「日本人の心」潮出版社2001 は、河合の神話論と7人の研究者や作家との対談集である。ここでは、大江健三郎との「生と死の境界、そして文学」文学界1989.8 のみをとりあげる。 まず、河合は現代における神話の役割を論じている。人間の不安の根

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 前回、「はてしない物語」の下巻が面白くないファンタジーのパターンだと言ったが、このパターンはアーシュラ・ル・グイン「ゲド戦記」やトールキン「指輪物語」というファンタジー大作にも言えることである。ヒーローがお姫様でも宝でもよいのだが、それを

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 ミヒャエル・エンデ(1929-1995)「はてしない物語」岩波少年文庫上・下2000(原書1979)は、上巻がバスチャンが物語を読んでいる場面である。内容は、「幼ごころの君」を救うためのアトレーユの冒険物語で、最後に滅亡寸前のファンタジーエンに呼び出され

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