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日記一覧
- 時代の中で（５） 時代の精神と「こころ」
- 2011年08月29日08:06
大江健三郎「水死」講談社2009 は、終戦時の父親の水死の謎を、作家になった息子（小説では長江古義人）が小説にしようとする過程を描いた小説である。父親は愛媛県内子町の谷間の村で道場を開く国粋主義者であったが、終戦に反対してクーデターを起こそう
- 散歩道のスケッチ（８） 盛りを過ぎたひまわり
- 2011年08月28日13:22
ひまわりの群れも 衰えが目立ち始めた。 うなだれて、黒ずんで うつろな顔をして。 もう陽に向かうのを止めたのか。 今日の陽でなく 昨日の陽に向かっているのか その時には、花は陽の色に輝いていた。 夏は一度だけ、 そして、ひまわりは確かに夏
- 時代の中で（４） 普通の人になりたい。
- 2011年08月27日14:04
アーシュラ・ル・グウィン「ゲド戦記�検ゝ�還」は、大魔法使い・大賢人となったゲドが、魔法を使い果たしただの人となって、もっといえば尾羽うち枯らして故郷に帰ってくる物語である。ファンタジーとして前例がないのではなかろうか。ここまでみじめな姿を
- 散歩道のスケッチ（７） 初秋の柿の木
- 2011年08月27日07:05
とっくに、柿若葉の輝きはない いったい何種類の毛虫がいるのか たくさんのかじられた葉 二枚の葉が糸で張り合わせてあったり たまごがびっしり産み付けられていたり もう、陽に照らされても輝かない すっかりくすんだ色になった 無きずの葉がどこに
- 時代の中で（４） エデンの園のギリシャ・ローマ神話
- 2011年08月26日18:21
Ｃ．Ｓ．ルイス「ナルニア国物語 全７巻」1950-1956 は、ナルニア国というもの言う動物や小人たちの住む国を守るために、四人の兄弟姉妹が活躍する物語である。最初に出版された「ライオンと魔女」では、ナルニア国はアンデルセンの「雪の女王」のような
- 時代の中で（３） 動物たちの個性の発見
- 2011年08月25日20:46
リチャード・アダムズ（1920− ）「ウォーターシップ・ダウンのうさぎたち」1972年 は、うさぎの住む野原の開発から逃れるために、うさぎの群れのなかの少数のグループが安全な場所、ウォーターシップ・ダウンつまりウォーターシップヶ丘へ脱出する物語で
- 時代の中で（２） 嘘と真実
- 2011年08月20日09:39
アゴタ・クリストフの三部作「悪童日記」1986年、「二人の証拠」1988年、「第三の嘘」1991年を読んだ。これは、リュカとクラウスという双子のうち死期の迫っていたリュカが50歳で自殺するまでの物語である。時代は、第二次世界大戦末期から、多分、1985年こ
- 時代の中で（１） 神聖喜劇から何を学ぶのか
- 2011年08月18日18:47
山本譲司「獄窓記」ポプラ社2003年 は政策秘書給与流用事件で１年６ヶ月の実刑判決を受けて服役した元衆議院議員のドキュメンタリーである。 少し前には、いくつも同種の事件があったが、さすがに今はない。経験に学んだのだろう。先に、家族も読んでいて
- 散歩道のスケッチ（６） 山鳩のアダージョ
- 2011年08月14日06:55
曇天に山鳩が鳴いている。 ボッボボーボー ボッボボーボー そのたびに、心の中に 曇天が広がってゆく。 それは聖堂の中の ステンドグラスの柔らかな光や アルビノーニのアダージョのように 心を憂愁に浸してゆく。
- 小説の中の謎（99） ヒューマニズムと巫女の日常
- 2011年08月13日08:30
ル＝グウィン「ゲド戦記�供，海錣譴刃嗄悄廖�the tombs of Atuan 1970)は、アースシー諸国の一つ、カルガド帝国の大巫女とされた少女テナーを中心とした物語である。カルガド帝国には人身御供を神にささげる慣習があった。多分、中南米の古代文明、アズテ
- 映像の向こう側（２） 自然派と社会派
- 2011年08月12日14:02
映画「ハックフィンの大冒険」1993年 をテレビでみた。原作はもちろん、マーク・トウェイン（1835-1910）「ハックルベリ・フィンの冒険」1885年 である。 原作との変更点は、トム・ソーヤーがでてこないことである。確かに、余分なのだ。トウェインは多
- 散歩道のスケッチ（５） さるすべり
- 2011年08月12日13:05
真夏の太陽の 過剰な熱射と光線が はじけて、はじけて 結ぶ小さい赤い花 皮を落とした 幹や枝の先で 毎日、毎日 新しい花を結ぶ
- 映像の向こう側（１） 父と子
- 2011年08月11日08:53
先日、ＮＨＫでドキュメンタリー「ふたり 宮崎駿×吾朗」をみた。「コクリコ坂から」制作の過程での父と子の対立と協力、間に入るプロデューサー鈴木敏夫の調整を中心にとした、制作と同時進行の現場の映像である。まず、よくとれたものだと感心した。時々
- 小説の中の謎（98） 少年たちのアンビバレントな心
- 2011年08月10日11:08
フィリパ・ピアス「真夜中のパーティー」岩波少年文庫（原作1972）は、八つの物語からなる短編集である。ピアスのことだから一癖あるのだろうと思ったが、そうではなく、主として、少年の震えるような心の動きを描いたものだった。一つだけ少女を主役にした
- 散歩道のスケッチ（４） 屋敷の跡地
- 2011年08月10日09:30
屋敷の跡地に 一斉に生い茂るエノコロ草 その中に、二つのスカシユリ 暮らしていた人たちの 夢の名残り
- 小説の中の謎（97） 無常に生きる
- 2011年08月09日11:46
昨日テレビで、井上靖作、熊井啓監督の映画「天平の甍」1980、をみた。普照ら４人の留学僧が、戒律の師の招聘のために20年近い努力の末、ついに鑑真和上を伴って帰国する、という有名な物語である。 時は、玄宗皇帝治下の唐の最盛期、戦後のアメリカのよう
- 散歩道のスケッチ（３） あさがお
- 2011年08月09日08:16
夏の夜明け 湿りをおびたそよ風が 一瞬、形を得た。 陽を受けて 水滴を花弁に戻しながら ゆっくり萎れてゆく。
- 散歩道のスケッチ（２） のうぜんかずら
- 2011年08月07日08:51
塀をつたって蔓を伸ばし、 日差しに向かって葉を広げる。 それから、だいだい色の花を掲げて 夏を取り囲む。
- 小説の中の謎（96） 過去に向かって
- 2011年08月04日08:55
スタジオジブリの映画「コクリコ坂から」を見てきた。水曜日の女性割引、高齢者割引でお安く。 時代は東京オリンピック前年の昭和38年で、高校生の青春物語である。主人公は、横浜の港を見下ろす高台にある古い洋館で元病院、今は下宿屋の娘、海（呼び名は
