[難易度:2、時間:130分]
戦国時代、フランシスコ・ザビエルによって「牛肉を食べる」という文化が一瞬注目を集めたらしいのですが実際にそれが普及したのは幕末から明治初年のことです。
といってもいきなり牛肉を使った洋食が受け入れられたわけではなく、鹿肉を使った紅葉鍋などをアレンジした牛鍋が日本初の牛肉料理だったみたい。当初は獣臭さに抵抗のある人が多かったので味付けはその風味を抑えるために味噌味だったそうです。
やがて「もっと手軽に、もっとリーズナブルに牛肉を食べたい」という需要が高まり登場したのが牛丼。
吉野家の一号店となる築地店は空襲で焼失しましたが昭和22年に復活。なんとその頃から24時間営業だったそうです。当時の牛丼はうな重やうな丼と肩を並べるお高さだったそうですが、築地に出入りする人は1日5万人。夜が明けるずっと前から働いている人たちがこぞって暖簾をくぐるので店は活況だったとか。
バブル期のグルメブームを経て「和食は醤油味のままで良いのか」なんて考えた人がいたのでしょうか。牛丼に限らず従来醤油で味付けされていた料理を塩で食べてみようというムーブメントが起こりました。焼肉なども味がくどいタレより塩の方が美味しい部位がたくさんあることが発見されました。
ただ塩のみだと塩辛すぎる。とあるホステスが「レモンちょうだい」といって半分に切ったレモンの果汁をたっぷりかけたらめっちゃ美味しかったというのがタン塩レモンの始まりらしい。
こうして牛肉の味付けは味噌から始まって醤油、塩と100年かけて進化してきました。次は何がくるかなぁとか想像をたくましくしながら、一度は食べてみるべと思って塩レモン味の牛丼を作ってみました。
[材料](1人分)
・ご飯:適宜
・牛バラ肉スライス:150g
・卵:1個
・ごま油:4g(小匙1)
・刻みネギ:少々
[煮汁パート]
・白ワイン:15g(大匙1)
・レモン果汁:15g
・鶏ガラスープの素:小匙1
・おろしにんにく:ひとかけ分
・おろし生姜:ひとかけ分
・塩:1g(小匙1/6)
・ブラックペッパー:少々
[作り方]
1.牛肉を食べ易い大きさに切ります。これと[煮汁パート]をジップロックに合わせて空気を抜きながら封をします。
2.炊飯器に1.を入れひたひたのお湯(分量外、沸騰している必要はありません)を注いで蓋をし、保温モードにします。このまま2時間放置します。
3.2.をやっている間に卵を湯呑に割り入れ水15g(大匙1)をそそいで電子レンジの500ワットで30秒チンして温泉卵を作ります。
4.フライパンにごま油を入れて強火にかけ2.を煮汁ごと加えて30秒炒めます。
5.丼にご飯をよそい4.をたっぷりかけます。真ん中に3.を載せて刻みネギを散らせばできあがり。
[備考]
・さっぱりしていて夏向きの牛丼だと思います。醤油風味のくどい味に飽きたらぜひどうぞ。
・ポイントは炊飯器の保温モードで時間をかけて低温で火を通すこと。うっとりするほど肉が柔らかくて絶品です。4.の焼きの工程で時間をかけ過ぎると肉が硬くなってしまいますので手早く炒めましょう。
・お好みで白ごまを振っても美味しいですし、焼海苔を刻んで散らしても楽しいです。あと、タバスコを数滴振ると刺激的なアクセントになりますよ。
・手間はかからないけどひまはかかる料理です。できれば大量に作って小分けして冷凍保存しておくと次に食べる時が楽です。食べる直前に熱めのお湯につけて解凍し、工程4.以降の手順で仕上げてください。
ということで、よければ一度お試しください。
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