過去の採集個体の振り返りネタ。
「目黒区の甲虫」小冊子の作成の手伝いで、区民から寄せられた情報を基に甲虫リストを作るというものがあった。区民からの情報は目撃情報が多く、証拠写真などが残っていない場合には、同定が怪しい種は取り除くようアドバイスした。しかし、「怪しさ」には特に基準はないので、難しい作業である。
その中に、クワヒョウタンゾウムシという種があった。
よく似たサビヒョウタンゾウムシは区内の何処にでもいるような普通種だが、クワヒョウタンゾウムシは、関東では山地性のようで、東京都では最近になって奥多摩で初記録された種である。標本も証拠写真もないので、まあサビヒョウタンの誤同定であろうと取り除いたのだが、自分はそもそもクワヒョウタンゾウムシを見たこともないので、少々心に引っ掛かるものはあった。
その後、クワヒョウタンゾウムシらしき個体を、自分の過去の採集タトウから発見した。珍しい種とは意識していない、ぞんざいな展足である。
図鑑の解説には、「上翅の奇数間室は強く隆起し、上翅基縁も隆起条で縁どられる」とあるが、その特徴が出ている。色は何故か黒っぽいのだが、毛が剥げたのだろう。発見時の画像は、こちら↓。
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話の落ちとして、もちろんこの個体は目黒区内のものではない。2010年10月に出張時に採ったもので、採集地は岩手県八幡平市とある。
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