【日に数分だけ】
日に数分だけすきとおっているところを
つめたいあめのなかでみつめられた
めぶきだしたやなぎのようだといわれて
とうめいがあまたの線でゆれるらしかった
ひかりの帯でわかれているへだたりに
あやうさをみつめるひとみだけおきたく
病むか歇むかするじかんをうすくまとった
在も不在もきっとてつがくのうちにあり
詩はおもうままおもわない不作為でつきた
かんがえるまえのそんなおもうがなぜ
ことばをわりだすおとになってゆくのか
すきとおっているから発語に主部がおちて
あたえないやりかたがあたえを黙契する
からだのめぐりといきさつの日めくり
脱衣後のゆめをてつがくと詩があらそい
ことばのさわりどころをたがえていた
おぼえぬほどゆるやかな花いかだは
うすいかなしみでうかびながれて
おわりのコーダは聴けばひだにとむが
ちいさなひるがえりをのこすにすぎない
スローモーションをみていたのだろう
こばむこころねがゆれることばでゆれた
いうそばからきえてゆくとうめいを
てつがくは生きず詩はきえにしたがう
みらいはさきではなくあいだにある
それでさけているくちびるがかなしんだ
日に数分だけすきとおるあやうさが
いきるうえの自慰に似てしまう度量を
いまもみやこにいるならよこたえた
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