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2016年04月09日14:46

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女ふたり

 
【女ふたり】
 
本日(4月9日)の北海道新聞夕刊に、ぼくの連載コラム「サブカルの海泳ぐ」が載ります。今回串刺ししたのは、前クールのドラマ『ナオミとカナコ』、まだシアターキノで大ヒット続映中のトッド・ヘインズ監督『キャロル』、それに現在ディノスで公開中、岩井俊二監督の畢生の傑作『リップヴァンウィンクルの花嫁』です。そう、こうならべてみてわかるように、「女ふたりの映画/ドラマ」の特集です。『キャロル』と『リップヴァンウィンクルの花嫁』についてはFBなどに長い文章を載せてしまったので、あまり補足することがありません。
 
基本的に美人女優ふたりがダブル主演する映像作品というのは、大好きです。『テルマ&ルイーズ』あたりから女性版バディム―ヴィという認識も出たとおもう。それでTVドラマでもW浅野主演の『抱きしめたい!』などが登場してくる。ここらあたりは女性同士の性愛の雰囲気までうすくただよう。ぎゃくにいうと往年の増村保造監督『卍』などは若尾文子と岸田今日子のレスビアン映画で、すこし濃すぎる。どうも女ふたりの映画ならレスビアン20%、バディ80%くらいの比率が、ぼくにとってのストライクゾーンらしいです。こう書いて、ふと林由美香が最高だったサトウトシキ監督『ペッティングレズ 性感帯』をおもいだしたりして、矛盾もありますが。
 
きれいな女たちがおなじ画面に映ると幻惑が起こる。相互が照りあい、美を増幅させるのです。それで女たちの実在が不明になる。恐怖にちかい感覚。そういえばプルースト『失われた時をもとめて』で話者が「女たち」から恋人アルベルチーヌを分離するのには充分すぎるほどの時間がかかっています。バルベックの海岸で遊ぶ美少女たちのすべてに幻惑され、区別がつかなくなっていたからです。こう書いて、なぜか大学時代をおもいだす。笑。
 
そうそう、『ナオミとカナコ』は最終回までサスペンスフルだったけど、佐藤隆太の夫役が殺される前後がドキドキのピークだった点が惜しまれた。それとTVコードがあるからだろうけど、主演・広末涼子と内田有紀、その親友どうしのレスビアンの暗示がすくなすぎたようにおもう。みつめるだけ。それでふたりの罪を確信する吉田羊にドラマの中心が移り、いわば「追跡劇」の様相を呈すのだけど、この吉田に最後、「追い詰めすぎた」ゆえの悔恨がえがかれなかったのも惜しかった。
 
「女ふたり」の分野では3年ほどまえのNHKドラマ、羽田美智子と板谷由夏がダブル主演した『第二楽章』が忘れられないなあ。あれには『ペッティングレズ 性感帯』同様、すごく濃密な時間がながれていた。ボブ・ディランは「神は女だ」といったけど、「時間は女だ」という言い方もあるかもしれません。
 
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