ひとつの家族といえども、ほとんど怨念に近い気持ちで生きているのはあまりにもネガティヴすぎて、神なき民の苦しみなるものを見せ付けられる。
しかしロマネスク的展開のなかでそれぞれの人物が自分を見つめつづけ、やがて前向きの道が見えてくる。
要は、自らのなかの陰の部分といかに対峙しつづけるか、もがきつづけるか、にあるのかもしれない。
安易に逃げたりせず、それぞれの努力にすなおに感嘆しておくべきところ。
結果として、その十全さといったものにこそ、ひと時代前のようなものを感じてしまうのだが、それを茶化してはいけないのだろう。
読み応え、じゅうぶん。
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