[難易度:2、時間:20分](煮含める時間は含めていません)
ある朝目が覚めたら世界からスマートフォンが消えていた。
それどころか僕以外、誰もスマートフォンという物の存在を覚えていない!
不便極まりない生活に不満を抱きながらもようやくスマホのない生活に慣れた頃、今度は……世界からコンビニエンスストアがなくなってしまった。
それどころか僕以外、誰もコンビニという店の存在を覚えていない!
不便極まりない生活に……(以下略)
なんて小説のプロットを考えてみました。ジャンル分けするとすればタイムスリップ物の亜流と呼べるのかな。自分が過去にタイムスリップするのではなく文明がそぎ落とされて時代自体が過去化する話。やがて暮らしは昭和から大正、明治、果ては江戸時代に変わっていくという流れはホラーと言えないこともないです。けど、悪いことばかりじゃない。「そっか、スマホやコンビニがなかった時代はこんな風に暮らしていたんだ」と新鮮な発見があったりしてやがては逞しく生きていく主人公の成長物語として描けると面白いかなと思っています。
どんなに便利なものや美味しいものでもそれがなかった時代はそれらがなくても普通に生活できていた──そんな当たり前のことを僕らは忘れています。そんな時代を振り返って「スマホがなくてかわいそう」とか「コンビニがなかった時代って不便だっただろうな」とか思うのはおこがましいというか失礼極まりない振舞いなのかもしれませんね。
お肉を食べることが普通ではなかった時代、豆腐を揚げた「お揚げ」は貴重なたんぱく源でした。それどころか噛むと煮汁の旨味があふれ出す至福この上ない味わい。
このレシピのような料理を戴く時、ステーキやハンバーグがなかった時代でもごちそうは確かに存在したんだなぁと思っちゃうのです。
[材料](1人分)
・大根:3cm
・薄揚げ:半丁
・生姜:スライス1枚
[煮汁パート]
・だし汁(昆布と鰹の合わせ出汁):150g(カップ3/4)
・濃口醤油:12g(小匙2)
・味醂:9g(大匙1/2)
・砂糖:4.5g(大匙1/2)
[作り方]
1.大根はかつら剥きして半月切りにし沸騰した湯(分量外)で5分下茹でします。茹で上がったらざるに揚げて湯切りします。
2.1.をやっている間に薄揚げは7mm幅の小口切りにします。生姜は千切りにします。小鍋に[煮汁パート]と生姜を合わせてひと煮立ちさせておきます。
3.2.の小鍋に大根、薄揚げを加えて中火で10分茹でます。火を止めてそのまま鍋肌に触れるようになるくらいまで自然冷却すればできあがり。戴く前に温めなおします。
※自然冷却することで素材にダシの味がよく沁み込みます。
[備考]
・至福の一杯──そんな言葉がふさわしいお惣菜です。ステーキやハンバーグのような派手さはないけれどほっこりする味わいですよ。
・味わい深くするコツは炊いた後、ゆっくり自然冷却して味を沁み込ませること。格段に美味しく仕上がります。
・大根は下茹ですると味染みが良くなります。ちょっとめんどうに感じるかもですがひと手間かけてください。大根の下茹での終わりに合わせて工程2.を済ませると段取り良く調理できますよ。
・お好みで人参、ごぼう、椎茸などを加えても美味しくいただけます。薄揚げの代わりに高野豆腐を使っても美味しいですよ。
・盛り付けた際の彩りとしては写真のように刻み葱を散らすか糸切りした大葉を載せると美しいです。
・出汁は昆布でもカツオでもお好みで。僕的には昆布と鰹の合わせ出汁にするのがおススメです。
ということで、よければ一度お試しください。
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