mixiユーザー(id:7990741)

日記一覧

ノーベル文学賞受賞後はじめて出版された長編。とても独特で面白かった。「わたしを離さないで」に通じるような感じをもった。主人公のクララが子どものAF(人工親友)なので、とても平易な言葉遣いでたいそう恐ろしいような話を穏やかに紡いでゆく。イギリ

続きを読む

2019年本屋大賞受賞作家が去年 すばるに連作した長編、とても読みやすく面白かった。  29歳の宮路は恵まれた家庭に育ち、親のお金で一人暮らし。ある日老人ホームにボランティアでギター演奏しに行ったところ、サックスの大変上手い介護士渡部と出会

続きを読む

「空に住む」小竹正人著
2021年07月04日14:41

この映画が上映されたのが、コロナ感染が更に悪化している時で、映画館には行けなかった。代わりに読んでみたら、まるで映画のような小説だった。二十代後半の直実は相次いで両親を亡くしてしまい、たった一人の親しい親族の叔父を頼って新潟から東京に住まい

続きを読む

とても面白い中短編3つ。どれもほぼ一気読みに入り込んだ。表題作は、三十代半ばの独身女性が、岐阜から東京都下の実家まで、初対面の強面の男と田舎のポルシェこと軽トラで往復する、ロードノベル。台風の上陸予報もあり、不穏な雰囲気の中、次々にトラブル

続きを読む

一昨年の本屋大賞ノミネート作家のファンタジー長編。私設図書館のオーナー家の女子高生の、本を巡る冒険なのだが、うーーん、アニメ的展開に、ところどころついて行けなかった。正直、今いち。こうしてみると、改めて、世界的大賞を得たファンタジー作家のあ

続きを読む

「献灯使」多和田葉子著
2021年06月10日15:07

ディストピア長編·中編小説など5篇、どれも平易な文章のようで難解で意味深長で、哀しくて、可哀想なお話ばかり。静謐なホラーとも呼べるかも。国として機能しなくなった日本が舞台の表題作は、若いほど身体に不調があり、曾祖父が曾孫の面倒を見ている

続きを読む

昭和24年の名古屋を舞台にした推理小説。面白かった。男女共学となったばかりの高校3年生5人は、推理小説研究会と映画研究会部員として、部室を共有、更に顧問の教師も共有している仲良しで、合同で一泊旅行に出かける…平成生まれなどの若い読者には少し

続きを読む

現役の日本人作家の中でも、繊細さにおいてはトップ10に入るだろう、と私は常々感じているのだが、そんな江國香織のエッセイと掌編小説集。期待以上に興味深く、たまには爆笑の短編集だった、面白かった。江國滋の娘として生まれ、妹と仲良しの深窓の令嬢と

続きを読む

最新の このミステリーがすごい!大賞受賞。とてもテンポよく軽やかで面白かった。主人公は大手法律事務所の美人敏腕弁護士·麗子。金欲至上主義で、冒頭からプロポーズを拒否するのだが、理由はダイアモンドのお粗末さにあった。その後、勢いで連絡して

続きを読む

「銀の夜」角田光代著
2021年04月30日12:13

2005年から雑誌VERY に連載された小説。三十代半ばの女性3人が主人公で、流れるように展開していって、とても面白かった。ちづる、麻友美、伊都子は高校時代アイドルバンドを組んだ仲間。その頃が人生のピークと言って憚らない麻友美は一人娘をタレント

続きを読む

「北の狩人」大沢在昌著
2021年04月24日23:40

新宿を舞台とした犯罪アクション、流れるような展開で面白かった。秋田県警の若い刑事·梶雪人は、殉職した父の死の真相を知ろうと上京する。歌舞伎町に着いた幸人は、いきなりトラブルに見舞われ、新宿署の刑事·佐江と知り合う。父は同僚と二人で殺

続きを読む

東日本大震災後福島県に住んでいる作者渾身の長編。とても重いけれど読み甲斐あったし、面白かった。主人公は福島県相馬郡から出稼ぎで上京した経歴のある70代のホームレス。上野公園のホームレスの実生活をきっちり取材した著者の描写はとてもリアルで、ノ

続きを読む

「とわの庭」小川糸著
2021年04月13日11:38

この先どうなるの?と、どんどん読み進んだ。とても面白かった。主人公とわ の半生の物語なのだが、とわは全盲の少女で、庭付き一戸建てに母と二人だけで住んでいる。母は周囲との関わりを拒むように、たった一人で大切に大切にとわを育てているのだが…ネタ

続きを読む

伊勢物語をモチーフにし、婦人公論に連載された長編。面白いというよりも、勉強になったというのが正直な感想。例によって(川上ワールドによく見かける)、他人と関わるのが子供の頃から極端に苦手な若い女性·梨子が主人公。一人娘の彼女は、幼少の頃から

続きを読む

ハリウッドの有名プロデューサー ワインスタインの性的虐待を告発した女性たちに取材し寄り添って一大ムーブメントを巻き起こした、勇気あるNYタイムスの女性記者たちの記録。この一連の「事件」が映画化され、日本でも去年上映されのに、コロナウイルスの

続きを読む

金融政策危機に直面する日本での、いかにも実在の首相や周囲の政治家らを思わせる人々と金融フィクサーの暗躍を、一大スクープを狙う経済誌の記者を通して描いた長編。金融や財政などのお勉強にもなるような、あたかもノンフィクションみたいな小説で、面白か

続きを読む

今年のアカデミー賞作品賞有力候補というので、コロナ第4波に突入前に、と行ってきた。満席!レディースデーの混雑かと思ったら男性も多かった。アメリカ西部を、キャンピングカーで暮らしながら移動して行く未亡人ファーンの物語。亡夫と暮らしていた町が、

続きを読む

邦画より洋画が好みなのたが、この監督と俳優陣だからと見に行った。シネコンのポイント切れが近づいていたし。面白かった。ハリウッドの派手なアクションや大仕掛けとはまったく異なる、ハラハラ感がたまらなかった。13年の刑期を終えた三上は、東京の弁護

続きを読む

緊急事態宣言が「解除」とは言っても、なんか日常生活とは程遠い東京。家族だけで近場のお花見と決め込んだ。穴場は、と思いついたのが、中野通りの中央線北側。駅前のサンプラザ辺りから、目白通りに突き当たるまで西武新宿線の踏切を超えて片側二車線。バス

続きを読む

19世紀末、オスカー·ワイルド作の戯曲「サロメ」をめぐる長編。面白かった。新進画家オーブリー·ビアズリーの描いた強烈に妖しく退廃的な挿絵によって、世紀末の英仏に衝撃と共にもてはやされた「サロメ」。実在したワイルドらが生き生きとかつ妖

続きを読む

去年の12月から前後期に亘る企画展。歯科医の後、銀座通りを歩いて行った。石岡がニューヨークに渡るまでのグラフィックデザインが展示されているのたが、1階入口を入ったら、かなりの入りにたじろいだ。平日午後5時前。空いてると思ったのに。スクリーン

続きを読む

国立市を舞台にしたタイトル作を始め、JR中央線の国分寺や武蔵小金井の辺りを巡る、アラ環男性達の短編7つ。定年を迎えるようなお年頃のオヤジ達の、何というか、胸キュン物語ばかり。と表現するそばから我ながら笑える。おじさんが胸キュン??ま、そんな甘

続きを読む

中編2篇の文庫本。味わいのある1冊だが、ヘンなお話と分類しちゃっても良いかも。「ペルソナ」はハンブルグに留学中の姉弟のうち、出来の悪い方の、道子の視点で描かれる日常。カツカツで暮らしている地域から、同じ日本人でも、商社マン一家が住む地域へ足

続きを読む

歯医者の帰り道、久しぶりに歩いて銀座ナルニア国へ。奥のホールで、写真展が開かれていた。大竹英洋さんという写真家は初めて知ったけれど、カナダの大自然を、野生動物中心に撮影していてどれも力作で素晴らしい。本当に癒やされた。バイソンの瞳のアップの

続きを読む

夕刊のコラムで、作家本人が、別な著名な小説家に面白いと褒められたというので借りてみた。面白いといえばそうだけど、少々マンガチックすぎる人物が出て来て、あんまり好みではなかった。大学生の男女4人と、親しい助教授達の話。美しいシングルマザー助教

続きを読む

「みがわり」青山七恵著
2021年02月01日15:04

秘密の匂いをまとった怪しくでも美しい一家をめぐる長編。モヤモヤ感と謎が満載の面白い小説。ほぼ無名の若手新人作家園洲律は、スランプの中にいた。出演したテレビを見たファンから、出版社を通して会いたいとの依頼があり、面会してみると、いきなり、その

続きを読む

タイトル作含め3編収蔵、どれもとても良かった。面白かった。表題の物語では、可愛い女子大生に一目惚れのように声がけされ、付き合い始めたタケル。満を持して彼女の実家を訪ねると… 2作目は、不倫関係の相手に強引に頼まれ、娘を預かることになってしま

続きを読む

自治体のコミュニティハウス内の図書室の司書がもたらすお話集。とても面白い連作短篇集で、どの作品も読みやすくて優しくて、辛い状況を生きる老若男女の奮闘記ともなっている。いかにも都市の郊外にある小学校に併設されたコミュニティハウス、そこにある図

続きを読む

小さくて地味な会社で穏やかに展開していくようで、実は奥が深く、心にぐんと入りこんでくるお話、とても面白かった。社員6名の栗田金属に中途採用された藤沢美紗は、月経前症候群で辛い思いをしている。後から中途採用された山添孝俊はパニック障害を患って

続きを読む

「命の砦」五十嵐貴久著
2021年01月11日14:48

消防士・夏美シリーズ最終作。文芸批評家が「さあ、読んでくれ」と四つ星推薦しているのに乗った。期待通り面白かったけど、前2作より規模が大きいので派手な分、犠牲者もひどかった。舞台は新宿地下街。区役所までつながった方面がメインだけれど、プリンス

続きを読む