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2021年02月28日17:32

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「犬婿入り」多和田葉子著(講談社文庫)

中編2篇の文庫本。味わいのある1冊だが、ヘンなお話と分類しちゃっても良いかも。

「ペルソナ」はハンブルグに留学中の姉弟のうち、
出来の悪い方の、道子の視点で描かれる日常。
カツカツで暮らしている地域から、
同じ日本人でも、商社マン一家が住む地域へ足を運ぶ場面などは、
いかにも海外駐在の住み分けの有り様がリアルに描かれて興味深い。
また、東南アジアからのボートピープルと間違えられてしまう、なんて私にも経験がある。
ということで、納得はいくが、面白いかというと……

「犬婿入り」は芥川賞受賞作なのだが、
これを読みたかったのは
小説の舞台が、国立市だとわかったから。
市内でも甲州街道の北と南では、住人が全く違う。
南の、多摩川に近い方の家々は古くから住まっているので、
そのため、なぜこの信号の停止線がこんな奥に?
という交差点が甲州街道にはあって、
市の外郭団体の職員さんから、
「拡張したくても私有地を決して切り売りしてもらえない」と聞いた。
その結果国道との交差点にしては、道幅狭くて運転技術を要することに驚いた。

作者は市内の北寄りの公団住宅にしばらく住んでいたということで、
この小説では、団地の子供向けの学習塾を一人で経営する39歳のみつこが主人公。
そこへ、いきなり大きな若い男がやって来て…

子供が塾に通うのに神社の梅園をこっそりくぐりぬける、とあるが
この季節、その谷保天神の梅がきれいに咲いているだろうな。
来年こそは訪れたい、と思った。国立大好きなもので。


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