19世紀末、オスカー·ワイルド作の戯曲「サロメ」をめぐる長編。面白かった。
新進画家オーブリー·ビアズリーの描いた強烈に妖しく退廃的な挿絵によって、
世紀末の英仏に衝撃と共にもてはやされた「サロメ」。
実在したワイルドらが生き生きとかつ妖艶に、ロンドンとパリで活躍する。
作者は、ビアズリーの、女優志望の姉メイベルを通して、
若くして夭逝した天才画家の姿をリアルに描いてみせている。
戯曲のサロメが憑依したようなメイベルは、弟思いでありながらも、
ものすごく野心的で、痛々しいほど。
サヴォイホテルや本屋などを辻馬車で巡るような気分になって楽しんだ。
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