東日本大震災後福島県に住んでいる作者渾身の長編。
とても重いけれど読み甲斐あったし、面白かった。
主人公は福島県相馬郡から出稼ぎで上京した経歴のある70代のホームレス。
上野公園のホームレスの実生活をきっちり取材した著者の
描写はとてもリアルで、ノンフィクションみたいだ。
彼の苦難に満ちた人生が、時系列ではなく、
解き明かすように語られる。
少しずつ紐解かれてゆくさまが、秀逸だ。さすがとしか言いようがない。
私もトーハクや都美術館などに行くときは必ず利用する上野駅が、
ありありと浮かんできて、音までも聞こえてくる、
とても悲しい物語だった。
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