mixiユーザー(id:7990741)

2021年04月30日12:13

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「銀の夜」角田光代著

2005年から雑誌VERY に連載された小説。
三十代半ばの女性3人が主人公で、流れるように展開していって、とても面白かった。

ちづる、麻友美、伊都子は高校時代アイドルバンドを組んだ仲間。
その頃が人生のピークと言って憚らない麻友美は一人娘をタレントにしようと必死だし、
ちづるは夫婦二人暮らしだが、夫の浮気に気づいている。
伊都子は華やかで派手な翻訳家の母親(シングルマザー)とのしがらみに悩んでいる。

そんな3人が自己肯定をしようともがく姿が、
美しい場景やリアルな都会生活を描きながら紡がれていく。
上っ面は愚かしいし、彼女達の行動は、いわゆるアルアルだらけ、
それでも心情の描かれ方や会話がしっかりと個性的で、
筋が読めそうだけど十分に興味深い、というか、
どんどんページをめくりたくなる。

時を経て今頃出版された裏事情をあとがきで読んで驚く。
この作家は物語を書くのが本当に上手いと、改めて感心した。


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