日本甲虫学会の刊行誌さやばねニューシリーズの最新号に、ヒメトゲムシ科の採集個体の再検討に関する論文が載った。JUNさんの力作であり、これまでの常識をひっくり返すようなインパクトたっぷりの論文だと思う。これにより、全国各地で標本個体の再検討が進むとすれば、どんなことになるのやら。
さて、自分はというと、これまで東京都区内および箱根町で採った個体はすべてタイワンヒメトゲムシで、本家本元の?クロヒメトゲムシにはなかなかお目にかかれない。釣り堀採集は個人的なポリシーに反するが、クロヒメトゲムシを見られるのなら釣り堀に行ってみたい気がしてしまう。
そして、マツシバンムシについても、このことと似た状況に陥りつつある。
マツシバンムシ亜科のコガタマツシバンムシの属(Ernobius属)の虫は、これまで東京都大田区と神奈川県鎌倉市で計8頭採集しているが、今のところいずれもニセコガタマツシバンムシのようである(↓3月4日付拙日記の画像再掲)。
コガタマツシバンムシは東京都と神奈川県から記録されている一方で、ニセコガタマツシバンムシは両都県からこれまで記録がない。とすると、もしかしたらクロヒメトゲムシとタイワンヒメトゲムシと同じような状況にある可能性が生じているのではないか。
シバンムシついでに、蛇足として。
同じ号のさやばねN.S.に、長野県のニセツツガタシバンムシの短報が載っていた。その交尾器画像を見ると、自分がザウテルシバンムシと思い、それが誤りと分かった採集個体(2019年@横浜市)の交尾器画像↓と似ていた(2024年2月29日付け拙日記参照)。とすると、自分の採集個体は、ニセツツガタシバンムシだったのか、再検討してみたくなる。
しかし、上の短報の交尾器画像と、記載文(Sakai, 2003)の交尾器図とは、一致しているとみて本当によいのだろうか? シバンムシの交尾器は難しい・・・。
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