あるかもしれない人間の自由

動物園へ迷い込むクマ。隠れる。動物園は休園。いったいクマはなにを見たのか。檻のなかの動物を。でも餌を捜す苦労から解き放たれる。これは人間にだけ思いつく寓意か。動物から見れば人間こそ大きな檻に閉じ込められていると見ることもできるはずだ。人間という家畜化されてしまった生き物。山に帰ったクマは仲間からおいしいものを食べてきたんだろうと妬まれるかもしれない。「いや、ぼくたちは豚ではない」と叫ぶことができるだろうか。こんなわずかなエピソードでイマジネーションが膨らんでいく。岩手の盛岡のことである。