跳ぶのが好き。階段を跳び上がるのが病みつきになる。宙に留まっていられるから。そのあいだ、時も停まっていると思うだろうが、じつは別物の時が流れている。宙にいることも忘れてしまうほど。気がつくと地上に激突してしまう。でも少しぐらいの生傷はいいのだ。別物の時に身をまかせるなんてことは当たり前のひとにはできることではないのだから。でももし停まった時がお好きなら積もった雪のようにじっとしているだけでやり過ごすことも可能。宙に留まっていることを思い出すまで。そう、階段の上には知られざる時と空間とが潜んでいる。
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