mixiユーザー(id:1299833)

2019年12月18日13:19

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鈴木孝夫『日本人はなぜ英語ができないか』(岩波新書)

 この著者は複眼的思考に恵まれた言語学者だと思う。
 このテーマについては類書が山ほどあるはずで、わたし自身にも言いたいことはたしかにある。
 ところが本書は、ニホン人にとって外国とは何か、外国語とは何か、というところから始めている。
 つまり、中国とは、漢文とは何か、ということで、さらには、近代ニホンにとって英語は何か、ということを解き明かしている。
 さらには、ニホン人にとって英語は必須であるか、つまり他に優先されるべきものはないのか。
 この国際化社会において、英語が果たす役割は何か。
 著者の思想は果敢であり、説得力がある、つまり、ニホン人すべてがこれほどまで英語に精を出さなくてもよく、それは労力の無駄使いでもある、と。
 もちろんそれにも一理ある。
 さて、本書が刊行されてから二十年が過ぎている。
 世は、パックス・アメリカーナがすすむばかり。
 著者の肩を持ちたいけれど、趨勢なるものも無視できない。
 英語を修めることは、いまのニホンでは労力がおおく、嫌々ながらのひとも少なくない。
 それにもかかわらず英語を使いこなせないと、社会で困るのだろうか。
 もちろんそうだ、とも言えるし、でも、そうかなあ?とも言える。
 そういうどっちつかずがいちばん困る存在ではあると思うのだが。
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