mixiユーザー(id:1299833)

2019年09月19日12:26

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上田早夕里『華竜の宮』(早川書房)

 この地球という惑星はじゅうぶんに魅力的、しかしそれでも地球がいつかは住めなくなることもありうる。

 多くの人は他の惑星への移住を夢みてきて、たとえば火星などが候補にあがる。

 しかし最近は、住むことができると思って出かけたのにそれが無理で、引き返してくるという話もすくなくない。

 ここの話では、地球上の物理的な問題は、なるべく解決され、人間も遺伝子操作によりトラブルを乗り越えられるようになってきている。

 変化する地球の環境に適応すべく生きてきたので、それだけに自信をもち、もはや他の惑星には誘惑されなかった。

 しかしここの話では、地殻、地殻より深いレベルの変化によって水面が二百五十メートルも上昇し、水上生活を選ぶことになるが、さすがの人間も、追い詰められ、さらには地球の変動がよりラジカルに引き起こされるために、危機感が最高に達する。

 世界はすでにおおきなブロックに区分され、そこには、政治と駆け引き、つまり官僚のシステムが蔓延し、それはどうやら地球の最後の日にまで引き継がれるらしい。

 そんななかで、ひとはなにを考え、どう生きるか。
 まったくのディストピアか、それとも生きた証が残せるのか。
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