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2017年09月18日12:51

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宮部みゆき『おそろし 三島屋変調百物語事始』(新人物往来社)

 かねてから江戸期の文化とメキシコの植民地時代文化のあいだにはアナロジーがありうるとわたしはにらんでいた。
 キーワードは、バロック文化。
 方向性を絶たれたうえでの文化の興隆は爛熟化せずにはいられず、過剰さでひとびとを圧倒する。
 江戸に流行ったものに、怖ろしい話があったはず(ふつうは怪談ともいいそうだが)。
 そんな怖ろしい話は、人間関係の綾、もしくは社会の歪みがもろに投影される。
 もしバロック社会でなかったら、ミステリーとかに走りそうな話が、おどろおどろしい話に収束していく。
 そしてそれを取り纏めていく著者の手練に嘆声。
 なにはともあれ、おそろおどろしい話は、妖しい話にも転化していくはずで、その意味では両義性も兼ね備えていそうである。
 
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