そのいち: 特異な、風変わりなことを言ったり行ったりするひとにたいして、俗に、その頭のなかを覗いてみたいとか言うひとがいる。わたしはそんな気持ちになったことはなかった。しかし、この本を読んでいるあいだ、はじめてそんな気持ちがわかった。
そのに: 俗に、雑誌連載時にはなにげなく読んでただけだったものが、単行本になって読んでみて、びっくりした、と言うひとがいる。わたしも雑誌「ちくま」にて読むことがあったが、それほど印象がつよくなかった。しかしこうしてまとめられてみると、ああ、唸ってしまった。
なぜなんだろう、とわたしは思わず考え込んでしまった。
「リスボンの路面電車」なんてまちがいなく不条理ブンガクである。
翻訳にて頭を悶々とさせていると、ひとのイマジネーションというのは歪んでしまうものなのか。
翻訳家の文章というと真っ先に思い出すのは(柴田さんは別格だろう)、鴻巣さんでじつにまっとう。そんなイメージがあるから、岸本さんのトンデモぶりに、わたしは完敗、ということで乾杯(オチになったか?)。
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