(読み終わったのは数日前のこと、でもどうレヴューすればいいのか、なかなかわからない。
丸谷才一が、本を読むことについて読書感想文を強いてはいけない、と昔、話していたことを思い出した。
でも何も記さなければ、すぐ忘れてしまうのだ(記しても忘れてしまうことが少なくないのだ)。
今朝、仕事へいく途中でそんなことをあれこれ考えていた。)
荒木経惟について語ることはむずかしい。
一般にスキャンダルな部分のみが増幅されてとりわけマスコミに流布する。
わたしたちは容易にそんなことを信じてしまいがちだ。
だが荒木経惟の一部について触れているだけのこんな本を読んでも、このひとの全体像の巨きさといったものに思いが飛ぶ。
なにかを言ったら、足りないものばかりが意識されるようになるではないか。
荒木経惟は、古い人であって、そのスキャンダル性というものについても、本来のニホン人が持っていて、失ってしまった、健全な、ほぼ無意識に近いようなエロティシズムが充満しているような気がする。
この本は、荒木経惟の語り口を最大限、生かしている。
いわば、もともと庶民というような人であることがわかり、ヴァニティといったようなものとは、もともとは無縁だったはず。
ここまで来ても、この本をどう論じていいのか、よくわからないのだが、わたし自身、写真を撮ることにいかに意識的になるか、ということを学んだことを告白しておしまいにする。
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