卒業生女子と老教師との、高踏にも卑俗にもあらざる、その淡いを漂う恋。
その淡いさを色づけるものはお酒やつまみであり、派手さをこのまず渋さが支配する。
結果として眼につくのは、巷を覆う価値観にことごとく異をとなえる流儀であり、それは積み重なるにつれてひとつの美学を形作るにちがいない。
しかしその控え目な心の在り方も、いつしか奔流を意識せざるをえなくなってくる。
それは生きとし生けるものが辿りつく岸辺のひとつにちがいないが、このような曖昧さと露出する生との婚姻を目の当たりにして、まずため息が出てくるが、それからいったい何を感じていけばいいのか。自分ながらしばし不甲斐なさにみちた思いにとらわれる。
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