●「日本人の身体観の歴史」 養老孟司著 法蔵館 96年版 2200円
身体観について、哲学者の論説や日本の中世から江戸、現在までの変遷。さらに、世界（とくにキリスト教圏）の身体観の特徴を記した本。文化が違えば、身体観も違ってくることがよくわかる本。
ここでは、日本の「身体観」について触れる。養老は「身体」について、3つの特徴をあげている。�／郵�身体、�⊆�然身体、�Ｇ床戎搬里任△襦��，蓮�現在でいえばCTスキャンや血液検査などで得られる数値や映像でみることができるようなもの。�△蓮∪�老病死する身体そのもの。��は、生身の身体ではなく「役割」としての身体。例えば、王様ならその王の役割を果たす身体のこと。つまり生身の王が死んでも、役割はその子が継げばそれでいい、ということ。
そして脳化は、都市が生まれ（城塞に囲まれた町）る所に起きるのだ。さらに、人工身体や脳化身体は統制できるが、自然の身体は統制できないとしている。日本の歴史の中では、鎌倉時代から始まる「乱世」は個人の時代で、これは江戸時代になるまで統制できなかった。個が屹立すれば、ぶつかり合い統制などできる訳がない。
そこで江戸時代に入ると、この自然身体を消滅（なかったことに）させられる。だから武士（典型的な脳化人間）は、切腹などというものをさせられる。死んでも「家」が残るからだ。脳化身体は死なないで、役割を果たしていくのだ。
という訳で、かなり難しい本だが興味しんしんに読んだ本でした。
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