棋士の話など縁がないものと思い込んでいたものの、ひとつの才能の軌跡を垣間見るのにやぶさかではなかった。
病に押しつぶされかかって生きていて、自らの才能のみに頼り、才能のみならず修練を旨として、鮮烈に生きる。
それはひとつの生き様。
しかし書き手は、そんな若者の全体をいかに描き出すかに苦心する。
生きること自体が少なからぬ矛盾を背負っているにちがいない。
それがここでは、あまりにひたむきすぎる。
それにしたがって、将棋界のことが他人事でなくなってくる。
そう、鮮烈に生きる、としかいいようがない世界だ。
ログインしてコメントを確認・投稿する