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2023年02月18日12:40

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読書紹介2271●「プリンセス刑事3」

●「プリンセス刑事3」 喜多喜久著 文春文庫 21年版 750円
 女王が統治する国・日本の、王位継承権5位の日奈子は、王族としての使命感から国家公務員の刑事となる。その根本にあるのは、「国民を安心させたい」というもの。そこで設けられた部署が、警視庁内の「特務捜査班」。メンバーは、相棒の直斗と2人。自分たちで、何を捜査するかを選べる部署である。
 今回選んだのは、外国人による殺人事件。ショッピングモールで北アンプチン人(サーリ家の独裁国家)2人が突然、周囲の人に襲いかかったのだ。2人の内1人は、逃亡しようとして2階から飛び降り死亡。1人は逃亡したが、押し入った家の老女を殺し自殺。2人の体内からは、未知の薬物(ステロイドX)が検出。これが、突発的な衝動殺人を起こさせたのだ。
 この事件を利用して、「外国人排斥」を主張する政党・愛日新進党がキャンペーンをはり勢いを増す。更に、新型肺炎ウイルスが世界で蔓延し日本にも感染が広がる。女王は「国民を護る」ため、「入国者の10日間の隔離」を呼びかける。それが効をあげ、感染が沈静化する。しかし愛日新進党はそれをも利用し、若者を中心に勢いづくことに。その結果、外国人への暴力行為が頻発する事態に。
 ステロイドXの行方を追跡する日奈子は、捜査が行き詰まったことで「王族であり、刑事である」という、中途半端な属性に悩むように。そんな日奈子を、兄の光紀が「プリンセスならではの刑事のあり方を示してほしい」と。日奈子の将来をみすえた提言をするのだ。
 もともと王族典範と憲法は、矛盾する内容が含められていた。それは、国民を護るためには政治への干渉もいとわない。その意志が憲法や王族典範に密かに存在していたのだ。それを曖昧にしてあるのは、王族の権限の運用を世論に委ねているからであった。
 こうして日奈子は、「事件解決に全力を尽くす。そのために必要とあらば王族の権限を最大限利用してでもやり遂げる」との結論を導き出す。今回の事件に、日奈子は強引ともいえる手法で王族の権限を行使。それは、日奈子が事件の前面に立つというものであった。

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