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2023年01月02日09:34

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★日めくりレシピ(クルミの甘露煮)★

[難易度:2、時間:5分]
高殿円の小説に「上流階級 富久丸百貨店外商部」というシリーズ物があります。
デパートの外商に勤める女性をヒロインに据えたお仕事小説なのですが、彼女が相手にする顧客がまさに上流階級と呼ぶにふさわしい人たちなのです。
数百万もするペルシャ絨毯をポンと買ってくれたり、孫の誕生日に世界的に有名なパテシエの特製ケーキを発注したりする太客ぞろいなのですから。
作中、くだんのケーキの一件でヒロインは難題にぶつかります。依頼をしてきたご婦人はヨーロッパで賞を獲った日本人パテシエにケーキを特注したいというのですが相手のスケジュールが過密すぎて予定が合わない。で、彼の弟子にあたる日本人パテシエを勧めます。その弟子も最近ヨーロッパで新人賞を獲った新進気鋭の若手だと。ところが
「わたしは世界一が良いの。弟子なんて論外」
とクライアントはけんもほろろ。ところがヒロインも負けてはいない。
「彼は近々、帰国して新人賞を獲ったケーキを5点だけ制作する予定です。そのうちの1点を入手する伝手があるのですが」
と耳打ちする。するとクライアントは手のひらを返して「乗った!」と即答(いや、もっと上品な返事をするのですが)。明らかにケーキの味はどうでもよくて、もっといえば孫の誕生日というのも方便で単に集まってくる知人たちに
「このケーキは世界に5点しか制作されなかった特製ですの、ほほほ」
と自慢したかっただけじゃん、という下心が透けて見えて、なんかこの小母さん可愛いと嫌味なく思わせてしまうところは作者の筆の妙です。
ま、これは雲の上の話ですがもっと僕らの身近なところではおせち料理がまさにこれと同じ見栄の塊のように思えます。おせち料理が今のように高級化したのは太平洋戦争後、百貨店が売り出してからの話で、実は僕らがイメージする絢爛豪華なおせちの歴史は1世紀にも満たないのです。けど数十年もそれを繰り返していれば、「本当に高いお金を払う価値があるの?」と疑問を持つ人が出てきて当たり前。僕自身、おせちを作り始めて十数年になりますが献立を考える度に高価な食材を使う意義があるのか? という疑問にぶち当たります。
ということで今年はちょっと視点を変えて安い食材で作る美味しいおせちというのを探求してみました。

[材料](2〜3人分)
 ・くるみ(百均ショップで売っているやつ):1袋(約50g)
[調味料パート]
 ・はちみつ:22g(大匙1)
 ・味醂:18g(大匙1)
 ・酒:15g(大匙1)
 ・濃口醤油:6g(小匙1)

[作り方]
 1.くるみは食べやすい大きさに切ります。フライパンを中火にかけてくるみを加え30秒空煎りします。
 2.1.に[調味料パート]を加えて弱めの中火にし、水気がほぼなくなるまで煎り付ければできあがり。クッキングシートを広げて出来上がった甘露煮をばらして並べ粗熱を取ってから器に盛ってください。
※熱いままいきなり器に盛り付けると器自体に接着してめんどくさいことになりますのでご注意を。

[備考]
 ・めっちゃ上品な味わいの和風スイーツです。おせち料理の一品として重詰めしてもそん色ありませんし、普段のお茶請けにもおススメです。
 ・クルミは百均ショップで売っていますので(もちろん税別100円)、実は原価は百数十円と格安。家族に「高いだけがおせちじゃない」って自慢できる1品ですよ。
 ・お好みで[調味料パート]に酢を5g(小匙1)加えると風味がさっぱりとしてまた楽しいです。
 ・ナッツ類ならアーモンドやカシュナッツを使っても美味しく作れますよ。どれも百均ショップで手に入ります。

ということで、よければ一度お試しください。
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