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2022年04月06日10:08

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読書紹介2170●「剣と紅ーー戦国の女領主・井伊直虎」

●「剣と紅ーー戦国の女領主・井伊直虎」 高殿円著 文春文庫 15年版 820円
 徳川四天王の筆頭、井伊直政(幼名・虎松)の養母・香(井伊直虎)が主人公。女であるがゆえの苦しみと、その女たちの結束で闘う物語である。
 井伊谷城の井伊家22代当主(地頭職)の、唯一の子が香であった。香は不思議な子だった。未来を視ることが出来たのだ。7歳の時、井伊谷を覆う蝗の大群のような黒雲を視て(幻視)、大雨で天池が溢れることを予知。香は領内の住民を避難させ、住民を救ったことから「小法師」様と呼ばれ崇められた。香は、禍々しい黒雲を幻視することが苦痛だった。その後に、人々の死がやって来るからだ。しかし、その黒雲は幾度となく香の前に現れ、井伊家に苦難を与え続けたのだ。
 同齢で子供の時からの許嫁、直親(幼名・亀乃丞、井伊家当主の養子となる)の実父が謀反(今川家への)の疑いで殺され、亀乃丞は亡命を余儀なくされる。井伊家は今川に臣属し、今川の命令は絶対であったのだ。
 その今川から派遣された目付(小野家)が井伊家の家老職を継いでいて、その長男の政次が香に求婚したのが、香の13歳の時。香は、気づいた時には髪を切り「紅はいらぬ」と尼となった。
 直政(虎松)は、亡命した直親が井伊谷に帰還して出来た子であった。直親は、実父と同じように今川に挨拶に呼ばれ、そこで謀殺された。今川という権威を背景に、政次は井伊家の親戚を次々に謀略を仕掛け殺していった。香は、政次の狙いが井伊家に代わって「城主になる」ことであることに気づく。
 そんな時、今川義元が桶狭間で信長に討たれる。香の父も、この戦いで討ち死にした。今川家の凋落が始まったのだ。香は還俗し、父を継いで城主となる。香は、虎松を自分の養子にする。しかし井伊谷は、北の武田と南の徳川の争奪戦に巻き込まれる。配下の土豪は2つに分かれ、井伊家を見捨てていった。その全てを、香は予知することができた。
 やがて井伊谷は、武田軍によって焼き尽くされる。城も領地も失った香は、虎松を連れて徳川家康の前に現れる。虎松の仕官(家康の近習に)がなった。こうして井伊家は、虎松によって再興されていくこととなるのでありました。
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