●「魂(たま)手形ーー三島屋変調百物語7」 宮部みゆき著 角川書店 21年版 1600円
3編の怪異な話しが収められている。第3話「魂手形」では、成仏できない怒魂や怨魂を成仏させるため、「魂の里」の水夫(かこ)が魂見を説教したり面倒を見るという話し。この水夫が持っている道中手形を「魂手形」という。「魂の里」は天領にあって、この手形は幕府が発行する。見せられた役人は、「うん」といって承知するが、その後、手形の記憶は失われるという不思議な手形である。
本編では、具合の悪くなった水夫を泊めた木賃宿の息子・吉富(15歳)が、水夫が連れていた怒魂・水面の姿を見てしまい、水夫が具合が良くなった後、水面の怨みを晴らすために活躍(吉富が)する、という奇怪な話し。
それを三島屋の百物語の聞き手・富治郎に聞いてもらいに来たのは、70歳になった吉富であった。吉富は血痰を吐くようになり、自らの寿命を悟って、これまで誰にも語ったことのない15歳の時の怪異を話していったのでありました。
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