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2020年10月04日11:41

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読書紹介1980●「マインド」

●「マインド」 今野敏著 中央公論新社 15年版 1600円
 碓井弘一警部補シリーズの第6弾。今回の事件は、マインドコントロール。都内で2件の自殺があった。続いて、2件の殺人が。4件とも、同日同時刻であった。不審に思った警視庁刑事部第1課長が、各署に設けられた捜査本部とは別に、特命班を警視庁に設けた。碓井はそこの予備班に配属された。
 ところが、事件はそれだけではなかった。同日同時刻に、3件の強姦未遂事件と1件の盗撮事件が起こっていた。それを知らせたのは、警察庁の心理調査官・藤森紗英だった。こうして、紗英は特命班に招かれ碓井の相棒となったのである。
 やがて、7件の関係者全員が都内のメンタルクリニックに通っていたことが判明。クリニックを訪れた碓井は、受付の女性・持田に暖かい笑顔で迎えられたのだ。クリニックには3人の理事がいた。実質的オーナーの津本。院長の水沢女医。助手で受け付け係もやる持田であった。
 紗英は、水沢に「催眠術を治療に使うのか」と訊ねると、「使わない」と。碓井と紗英は、水沢の言葉に嘘はないと判断。しかし、このクリニックが7件の事件に関係しているのは明らかであった。そこで、津本、水沢、持田の関係が徹底的に洗われることに。そこでわかったこととは、持田が優秀な臨床心理士であること。催眠術も、前職場の病院で使用していたこと。さらに、津本を挟んで3人が三角関係にあることであった。
 本書は当初、「いくら催眠術をかけても、相手の意思に反して自殺させたり、殺人をさせたりすることは不可能」という立場(学説)であった。しかし紗英は、「個人の資質によっては、暗示をかけられて自殺や殺人をやってしまうこともありうる」というのだ。それが、マインドコントロールであった。
 碓井は、持田の受付での笑顔に好感をもっていた。特命班に戻った碓井は、報告のなかで持田を庇う発言を繰り返す。不審顔をする係長と紗英。碓井は、後催眠をかけられて・・・。という物語。
 紗英と水沢、紗英と持田の心理戦が描かれていくが、著者の心理学についてのウンチクの深さに感嘆したのでありました。

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