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2020年10月02日13:02

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読書紹介1979●「エチュード」

●「エチュード」 今野敏著 中央公論新社 10年版 1600円
 碓井弘一警部補シリーズの第4弾。碓井刑事48歳、巡査部長から警部補に昇進した。今回の相棒は、警察庁から来た心理調査官・藤森紗英。30歳近いのに大学生のような女性で、なぜかオドオドしているのであった。
 今回の事件は、渋谷や新宿の駅前で立て続けに「通り魔事件」が発生する。それぞれ1名の死者と2名の負傷者を出した。犯人は現行犯で確保されたが、どちらも「俺はやってない」と否認。この逮捕にはどちらも協力者がいたが、事件直後に姿をくらませていた。
 捜査本部の予備班に配属された碓井は、2件の共通点の多さに不審を抱く。いずれも協力者が犯人にしがみつき、「こいつがやった」と叫んだこと。その後、駆けつけた警察官の誰もが、協力者の人着(人相風体)を憶えていないこと。想い出そうとすると、被疑者の人着が浮かんでしまうのだ。単純な手品がやられていた。
 通り魔事件や立てこもりなどの、特殊事案を専門に研究している紗英は、警察が集めた証拠や状況からプロファイリングを開始するが、材料が不足していた。そんな中で第3の事件が、それも「渋谷駅前で起こる」と予想した。その際には、協力者を必ず確保するよう徹底された。
 予想どおり、第3の事件が渋谷で勃発。協力者が確保されたが、その男は「俺は協力なんかしていない」と否定。血が胸に付いて、「暖かいので、吃驚した」と発言。その発言で、紗英は「犯人ではない」と判断して帰してしまったのだ。
 ところが、その人物が申告した名前も住所も他人のものであることが判明。彼は、指紋など一切の証拠を残さない周到な人物であった。心理学者と心理学者の闘いに、紗英は敗れてしまったのだ。
 しかしパトカーで送った警察官が、途中で下車したその男が「エチュードなんですよ」との独り言を記憶していた。犯人からのメッセージが明らかになったのだ。ここに、プロファイリングの材料が揃った。
 犯人像とは、「年齢32歳。22歳頃に、不良グループに暴行を受けた経験がある音楽大学の学生だった。その後、音楽を諦めて心理学を学んだ者」というものであった。こうして、1人の男が浮かび上がった。紗英は、第4の事件が起こると予想。それも、これまでは練習(音楽用語でエチュード)だったが、これからが本番になると。
 果たして第4の事件は・・・。という物語。碓井は、紗英とコンビを組まされ困惑する。紗英の予想外の発言に警察官たちは反発するが、碓井は紗英の過去を知り、彼女を護り抜く決心(つまり彼女を信じる)をするのでありました。

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