●「鎮魂歌」 馳星周著 角川文庫 2000年版 762円
本書は、不夜城�兇任△襦�2年前、中国マフィア同士の銃撃事件で北京のボス・元は殺された。劉健一が画策したからだ。だが1番得をしたのは台湾マフィアの楊で、大金を手に入れた。その金の力で、次の北京ボスに崔虎を据えた。こうして、中国マフィア同士の均衡が再び保たれるようになった。楊にとって、この均衡こそが自身の儲けにつながるのだ。
2年前、健一はただの古買商のチンピラに過ぎなかった。彼は、事件のケジメをつけるために、富春の女・夏美を殺した。健一は夏美を愛したが、殺す以外の道はなかった。楊が望んだからだ。
そして2年間、健一は金儲けに励んだ。その金で、犬（スパイ）を飼った。歌舞伎町のあらゆる情報を手に入れるためだ。その手法は楊から学んだものだった。
そして事件は再び起こった。北京の崔虎の手下の大物幹部が殺された。プロの殺し屋・秋生の手によるものだった。命令したのは楊だった。歌舞伎町は再び不穏な空気に包まれた。崔虎が日本人の元刑事・滝沢に犯人探しを命じた。変態の刑事が、ここで思わぬ暴走を始めるのだ。
一方、楊の子飼の秋生は、普段とは違う命令を受け不安になる。上海のボス・朱宏の女のボディーガードをしろというのだ。やがて、朱宏の女の虜になった秋生が暴走する。北京、上海マフィア、そこに日本のヤクザを巻き込んで、次々に死体の山が築かれていく。秋生が暴走したからだ。すべては、健一の仕掛けた罠に絡めとられていたのだ。
健一が望んでいるのは何か? 夏美の復讐か? それとも・・・。という物語。どこにも救いのない物語でありました。
ログインしてコメントを確認・投稿する