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2019年03月14日15:25

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読書紹介1804●「天子蒙塵 4」 

●「天子蒙塵 4」 浅田次郎著 講談社 18年版 1600円
 「蒼穹の昴シリーズ」の第5部の最終巻。本書は、共和政の満州国の執政にまつりあげられていた溥儀が、帝政の満州国の皇帝になるという茶番を演じて終了する。その間の蒋介石の国民党の動き、とく国民党に下野した張学良が、イギリスで阿片中毒を克服して南京に至り、蒋介石と合流して国民党軍の副将となるまでの出来ごと(周恩来が命懸けで面談し、内戦はすべきでないと訴える)。また日本の状況(張作霖を爆殺した石原莞爾の動向など)が描かれていく。
 石原莞爾のところでは、張作霖の軍事顧問をしていて列車爆破事件で左足を失った吉永大佐が、石原に対して「貴様は軍人ではなく宗教家だ。末法の世の果てに前代未聞の大闘諍(だいとうじょう)が起こるという日蓮の予言を信じて、勝手に世界最終戦に至る論理をでっちあげた。・・・しかし予言を真理として歴史を作らんとするのは狂人の仕事だ」と糾弾する場面が印象的であった。
 ともかくシリーズ14冊目で、中国をめぐる近代史を描いた大著でありました。

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